宇野維正の映画興行分析
『スパイダーマン:BND』シリーズ歴代トップの出足 シネコンでは熾烈なスクリーン争奪戦

先週末の動員ランキングは、デスティン・ダニエル・クレットン監督、トム・ホランド主演の『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』がオープニング3日間で動員97万3000人、興収15億5900万円をあげて初登場1位に。これは『Michael/マイケル』のオープニング成績を超えて、今年に入ってから公開された実写洋画ではナンバーワンの成績。さらに、2022年1月に日本公開されて最終興収42.5億円を記録した前作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』も上回って、『スパイダーマン』シリーズ歴代最高のオープニング成績でもある。
スーパーヒーロー映画の興行に関しては、北米と日本の間に大きなギャップがあることがしばしば指摘されてきたが、その例外的な存在として日本でも高い人気を維持してきたのが『スパイダーマン』シリーズ。結果的に今作でもそれが証明されたわけだが、これまでと大きく違うのは、北米ではスーパーヒーロー映画全体に大きな逆風が吹いている中で今作が記録的な初動を叩き出していること。また、注目すべきは、北米以上にスーパーヒーロー映画の興行がシュリンクしていた中国や韓国でも、数年振りの特大ヒットを記録していること。
スパイダーマンというキャラクターへのグローバルにおける特別な支持、中心となる観客の世代交代など、考えられる要因はいくつもあるが、一般的な作品評価も含めここまですべてがうまくいったということは、一つではなく複合的な理由による成功であることは間違いない。賛否両論を呼んだMrs. GREEN APPLEの日本版主題歌起用も、日本でのオープニング成績には少なからず寄与しているだろう(そもそも『スパイダーマン』シリーズにおける日本版主題歌についてはこれまでも毎回のように賛否両論が起こってきたわけだが、今回はその論争の広がりという点でも宣伝的には成功だ)。
前週1位だった『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』はワンランクダウンしたものの、週末3日間で動員76万6000人、興収10億7200万円と異例の高水準をキープ。公開から10日間の動員は305万4100人、興収は44億300万円。先週末は『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』『映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ〜ション』『モアナと伝説の海』といった後発の新作に上映スクリーンを大きく奪われながらも、現状のスクリーン数ではほぼマックスの数字を叩き出した。今週土曜からは来場者プレゼント第2弾もスタートすることもあって、まだしばらくは「夏休み映画の主役」の座を明け渡すことはないだろう。
■公開情報
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』
全国公開中
出演:トム・ホランド、ゼンデイヤ、ジェイコブ・バタロン、ジョン・バーンサル、トラメル・ティルマン、マイケル・マンド、マーク・ラファロ
監督:デスティン・ダニエル・クレットン
脚本:クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
スタン・リー&スティーヴ・ディッコのマーベル・コミックに基づく
製作:ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカル、アヴィ・アラド、レイチェル・オコナー
エグゼクティヴ・プロデューサー:ルイス・デスポジート、デヴィッド・ケイン
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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