宇野維正の映画興行分析
出足好調の『バックルームズ 』 「実写洋画復活の年」のダメ押しとなるか?

9月第1週の動員ランキングは、『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』が前週との興収比259%という驚異的な数字を叩き出して再度1位に返り咲いた。入場者特典第4弾の配布開始日となった土曜日の前週比では4倍近くの数字となっていて、先週末から上映が始まった4DXスクリーンを筆頭に通常のスクリーンでも各地で満席近い状態が続くという、公開7週目の作品としては前例のない興行となっている。
『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』の公開から45日間の動員は960万7900人、興収は138億9600万円。公開中の『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』を超えて、2026年公開作のトップにも立った。ちなみに、興収の年間ランキングは前年の12月以降の公開作も含むので、それでいうと2026年の年間1位は昨年12月5日に公開されて興収157.1億円を記録した『ズートピア2』。もちろん『ちいかわ』の強さの要因は入場者特典だけではないが、もし第5弾があれば名実ともに確実に年間1位の座も狙えるだろう。
2026年の映画興行は、国内外のアニメーション作品だけでなく、『プラダを着た悪魔2』や『Michael/マイケル』や『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』など実写洋画作品でもコンスタントにヒットが出ているのが特徴だが、注目したいのは4位に初登場したケイン・パーソンズ監督の『バックルームズ』だ。オープニング3日間の動員16万3000人、興収2億4700万円という数字は、非メジャースタジオの作品としてはなかなかの快挙。
『バックルームズ』の製作及び(北米での)配給は独立系スタジオのA24。日本でA24作品の配給を担っているハピネットファントム・スタジオとしては、A24作品では2024年10月に日本公開された『シビル・ウォー アメリカ最後の日』以来の週末動員ランキングでのトップ5入りとなった。同作のオープニング3日間の興収は1億9800万円。洋画実写作品の興行が低迷していた2年前の当時、久々に初登場1位となったことでも注目されたが、今回の『バックルームズ』は興収比で『シビル・ウォー アメリカ最後の日』の125%の出足となっている。
しかも、今回の『バックルームズ』ではYouTube発コンテンツ、ゲームカルチャーともリンク、さらには(ケイン・パーソンズ監督自身はホラーにジャンル分けされることへの異論を表明しているものの)ホラー映画的な趣も濃厚ということもあって、公開初週から10代20代のグループ客が映画館に押し寄せているという現象も報告されている。この先、口コミも機能していけば、中規模実写洋画作品としては久々のスマッシュヒットとなるかもしれない。
■公開情報
『バックルームズ』
全国公開中
出演:キウェテル・イジョフォー、レナーテ・レインスヴェ、マーク・デュプラス、フィン・ベネットほか
監督:ケイン・パーソンズ
配給:ハピネットファントム・スタジオ
2026/アメリカ/110分/英語/5.1ch/原題:Backrooms/字幕翻訳:佐藤恵子/G/
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