2025年の年間ベスト企画
藤原奈緒の「2025年 年間ベストドラマTOP10」 目の前の幸せと日々の喜びを描いた作品たち

『ちはやふるーめぐりー』の生徒たちの好演も鮮烈だった。映画版からの流れをきちんと継承したことにより、令和版ならではの魅力を打ち出しながら、歴史の厚みも感じさせる完璧な作品に仕上がっていた。めぐる(當真あみ)がおずおずと手を伸ばさずにはいられなかった青春の輝きに、何度泣かされたことか。
山田杏奈・水上恒司が駆け抜ける『シナントロープ』の青春も秀逸だった。言葉が重なり、登場人物たちの日常と人生が重なりあうことで、街そのものが構築されていて、その中で、「奪われてなるものか」と必死に生きる人々の思いが迸る。
また、青春ではないが、恋という「大きすぎて背負いきれない夢」を貫く主人公2人の姿を描いた井上由美子脚本『愛の、がっこう。』の眩しさも忘れがたい。同様に、馬に夢を託した人々の熱い思いの継承を描いた大作『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)も圧巻だった。
阿部サダヲ・松たか子コンビが最高な大石静脚本『しあわせな結婚』(テレビ朝日系)が描いた家と個人の葛藤の物語も秀逸だったが、野木亜紀子脚本『ちょっとだけエスパー』が最終的に、野木作品が度々扱ってきた、社会から弾き出され「いないことにされた」人たちの物語を真正面から描いたことは特筆すべきである。そしてそれは『東京サラダボウル』(NHK総合)の鴻田(奈緒)と有木野(松田龍平)が丁寧に拾い上げていった外国人居住者たちを中心とした「こぼれ落ちそうな人生」の物語にも繋がる。
また、火曜ドラマの新たな名作となった『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)はじめ、『対岸の家事』(TBS系)、『フェイクマミー』(TBS系)、『ぼくたちん家』(日本テレビ系)が本来あるべき社会の優しさを呈示して見せたことも、今後のテレビドラマへの期待とともに記しておく。
■放送情報
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』総集編
NHK総合、BSP4Kにて、12月29日(月)放送
巻之一:12:15〜
巻之二:13:05〜
巻之三:13:48〜
巻之四:14:31〜
巻之五:15:20〜
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、橋本愛、井上祐貴ほか
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
『最終回!ありがた山スペシャル ~パブリックビューイング&トークショー~』
NHK総合、BSP4Kにて、12月29日(月)16:03〜放送
出演:横浜流星、染谷将太、橋本愛、中村蒼、風間俊介、高橋克実、鈴木奈穂子アナウンサー
写真提供=NHK






















