『BLドラマの主演になりました』阿部顕嵐×阿久津仁愛が“高い技量”で表現するコミカルさ

阿部顕嵐×阿久津仁愛の『BLドラマ』での成長

 では、『続・BLドラマの主演になりました』では何が描かれているのかというと、それはやはりふたりのピュア過ぎる関係なのである。距離が縮まり、関係性が変わったからといって、彼らはお互いをコントロールしようなどとは決して思わない。相手のことを想うからこそ、いくつものすれ違いが生まれる。私たちはそんなふたりの関係を、またもやヤキモキしながら目を細めて見つめていくのである。

 今作の魅力は設定にあると先述したが、ユニークな設定から生まれるコミカルな展開がじつに面白い。

 赤藤と青柳の関係はダイアローグ(=会話)によって育まれていくが、これをより盛り上げるのは、個々の膨大な量のモノローグ(=独白)。主演の阿部と阿久津はダイアローグのあるシーンでは、つねにアンビバレントな感情を表現しなければならない。彼らの表情や所作には、口にするセリフとは相反する感情が絶えず滲み出ている。一見、コミカルな演技にも思えるが、じつはそこには嫉妬などをはじめとするさまざまな感情が渦巻いている。赤藤と青柳を演じるためには彼らの内面(=感情)を私たち視聴者にどう訴えるかが重要になってくるわけで、作品の特徴であるコミカルなトーンを維持したまま、キャラクターの持つ切実さを表現しなければならない。撮影現場では高い技量が求められるはずであり、これを阿部と阿久津は見事にやってのけている。

 もちろん、阿部と阿久津が表現しなければならないのは赤藤と青柳の関係だけではない。彼らが身を置いているのは、芸能界というひとつの“社会”だ。それぞれのマネージャーである紫宏臣(小越勇輝)と黄島譲二(渡部秀)、人気アイドルの黒宮遼河(岩谷翔吾)、相談に乗ってくれる先輩俳優の天道菜々美(小西桜子)、さらには青柳を溺愛する人気俳優の灰原龍之介(古屋呂敏)や、新進気鋭の監督・山吹若葉(押田岳)などなど、彼ら彼女らとともに“社会”を築き上げてこそ、この物語の世界は呼吸をはじめるのだ。

 ダイアローグやモノローグといった、一つひとつのパフォーマンスに見られる瞬発力。そして、座長として作品の看板を背負って走り続ける持久力。これを阿部顕嵐と阿久津仁愛は本作のシリーズをとおして、得ることになるのではないだろうか。いや、すでに彼らのパワーアップぶりを実感している視聴者は多いことだろう。劇中の赤藤優一郎と青柳萌を見つめるように、彼らのことを見守っていきたいものである。

■配信情報
『続・BLドラマの主演になりました』
TELASAにて、毎週金曜12:00~独占配信(全6話)
メイキング『「続・BLドラマの主演になりました」の主演になりました』も独占配信中
出演:阿部顕嵐、阿久津仁愛、渡部秀、岩谷翔吾(THE RAMPAGE)、金井美樹、古屋呂敏、押田岳、小西桜子、小越勇輝、入山法子
原作:すずり街 『BLドラマの主演になりました』(一迅社)
脚本:遠山絵梨香
監督:熊坂出
プロデューサー:藤崎絵三(テレビ朝日)、瀬島翔(スタジオブルー)
制作協力:スタジオブルー
制作著作: テレビ朝日
©すずり街/一迅社/テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/bl_drama/
公式X(旧Twitter):@bldrama2025_ex
公式Instagram:@bldrama2025_ex

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる