二宮和也は『あんぱん』のワンシーンでなぜ心を掴めた アイドルとして培った哲学を紐解く

二宮和也が『あんぱん』で心を掴んだ理由

 例えばバラエティにおいては「現場の空気を捉えて反応を集めながら回すようにしている」と語っており、バラエティで見せる顔は限りなくゆるい。MCでありながら進行役を別に置き、仕切ることをしない。“脱力系プレーヤー”としてボケ役にもツッコミ役にもなるバランス力を発揮。『独断と偏見』の中で「芝居もバラエティも感情の流れを考える仕事」とし、「泣いちゃうと(感情的になると)やりたいことができなくなっちゃう」と語っている。つまり二宮がまとう“ゆるさ”は、その場における最適解を考え抜いた結果であろう。

 映像の現場においては、ストイックさに裏打ちされた二宮の姿がある。天才外科医から愛情深い父親、さらには巻き込まれ系ダメ男まで、演じる幅の広さも二宮の魅力の一つ。主演であれ脇役であれ“ここは二宮和也でなかったら成立しない”と思わせる。その考え方のベースは、やはり“アイドル”として培った哲学だ。「僕は10出せるけど、先方が3でいいんですという場合、『なんで3しかさせてもらえないいだ』ではなく、『一番質のいい3を叩き出していこう』と考える」のが二宮なのだ。

二宮和也、6年ぶり『ブラックペアン』への意気込み 渡海から天城へどう演じ分ける?

6年ぶりの“続編”となる『ブラックペアン シーズン2』(TBS系)。おなじみのキャストたちが再集結……という本作だが、普通の続編…

 映画『浅田家!』(2020年)ではカメラマン・浅田政志を演じ、中野量太監督を「感度がすごい」とうならせた。「俳優にとって必要なのは、脚本を理解して、自分が何をしなければいけないかを察知する力。そしてそれを表現する力。二宮さんはこの2つをしっかりと持っている。何をやらなければいけないのかを読み取って、ドンピシャの芝居をしてくれる」と話す。(※2)

 この先も続々と出演作の公開が予定されている。8月29日公開の川村元気監督作『8番出口』では主演を務め、岡田准一が主演・プロデューサー・アクションプランナーを務め11月に配信予定のNetflix『イクサガミ』へも出演する。

 もちろん、“アイドル・二宮和也”も健在だ。7月1日にはカバーアルバム『○○と二宮と2』がリリースされ、9月から全国5都市で二宮和也としての初のファンクラブイベントが開催される。さらに2026年春には嵐のコンサートが予定されている。

『あんぱん』第59話で、「みんなが喜べるものを作るんだ。何十年かかったっていい。あきらめずに作り続けるんだ」と嵩に語った清。 利他を貫き、“人が喜ぶこと”を最優先にしてきた二宮だからこそ、このセリフは多くの人の心を掴んだのだろう。

 「伝えたいものを確実に伝えるためにアジャストしていく作業が一番好き」と語る二宮。今後、どんな新しい景色を我々に見せてくれるのか、しっかり追い続けたい。

参照
※1. https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2025/06/19/kiji/20250619s00041000070000c.html
※2. https://press.moviewalker.jp/news/article/1007666/

■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、大森元貴、二宮和也、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、妻夫木聡、阿部サダヲ、松嶋菜々子
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK

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