二宮和也が“続編”で与えた衝撃 『【推しの子】』『インフォーマ』で披露したダークな二面性
2024年のクライマックスは、完全に二宮和也に持っていかれた印象がある。おそらくこう感じているのは私だけではないと思う。いや、断言してもいい。彼が俳優として最重要人物ともいえるキャラクターを演じた『【推しの子】-The Final Act-』と『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』(ABEMA)が世に放たれたからである。この2作をとおして俳優・二宮和也から受けた衝撃は、2025年になったいまもなお収まっていないのだ。
二宮が俳優として厚い支持を集めていることは広く知られているだろう。いや、世間の評価はこの際どうでもいい。俳優としての二宮和也を支持したことは、誰だって一度はあるはずだ。彼は「嵐」という国民的アイドルグループの一員として活動するかたわら、名だたる作家や演出家とコラボレーションし、いくつもの代表作を得てきた。この5年ほどだと、『浅田家!』(2020年)や『ラーゲリより愛を込めて』(2022年)といった注目の映画作品で主演を務め、『マイファミリー』(2022年/TBS系)や『ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜(2023年/フジテレビ系)などの話題のドラマ作品で座長を務め上げてきた。
2018年には木村拓哉と共演した映画『検察側の罪人』での演技が大きな反響を呼び、同年に放送された主演ドラマ『ブラックペアン』(TBS系)は、2024年の夏から秋にかけてその続編が放送された。二宮はコンスタントに、自身の代表作となるような作品の数々を世に送り出してきたのである。
俳優としての2024年の出演作は『ブラックペアン シーズン2』だけかと思いきや、放送終了後の10月に『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』の出演が、そして12月になって『【推しの子】-The Final Act-』の出演が発表されたため、これが多くのファンにとって大きなサプライズとなったわけだ。しかも演じているのはどちらもダークなキャラクター。物語の展開にあわせてこの驚きは、2倍にも3倍にも膨れ上がったものである。
『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』は『インフォーマ』(2023年/カンテレ)の続編で、桐谷健太が演じる主人公の情報屋を中心に、現代社会の“闇”が描かれるもの。いっぽうの『【推しの子】-The Final Act-』はドラマ『【推しの子】』(Amazon Prime Video)の続編にあたるもので、これをもって物語は完結する。両作ともに、二宮は途中からの参戦者だ。しかも繰り返すように、演じているのはどちらも最重要人物といえる存在である。
前者で二宮が演じているのは、高野龍之介という警察官僚。表向きは誠実に振る舞う品のある刑事だが、じつは裏の顔を持つという二面性がこのキャラクターの強固な魅力。未見の方々のため詳述は避けておくが、高野が裏の顔をのぞかせたとき、物語は一気に加速していく。どんなときでも高野は冷静沈着。涼しい顔をして恐ろしいことをする。まるで散らかったゴミでも片すかのように。