石橋静河は従来のヒロイン像を塗り替える? 『ブラッサム』は革新的な朝ドラになる予感

『ブラッサム』の脚本を手がけるのは、NHK夜ドラ『あなたのブツが、ここに』で注目された櫻井剛。朝ドラには足立紳がメイン脚本を務めた『ブギウギ』(2023年度後期)にも参加している。田幸氏は「戦前から平成まで描く物語に櫻井さんはピッタリ」と語る。
「『ブギウギ』はメイン脚本の足立さんのユーモアも非常に面白かったのですが、個人的には櫻井さんが担当されていた週がとても印象に残っています。主人公・スズ子(趣里)の弟・六郎(黒崎煌代)の戦死にまつわる週で、こんなにも戦争を正面から描くことができるのかと。NHKのスペシャルドラマ『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』でも、異なる世代を物語の中心に据えながら、現代から戦争を見つめる視点が非常に秀逸でした。代表作である『あなたのブツが、ここに』も、コロナ禍という非日常を描いた作品だっただけに、櫻井さんの社会を見つめる視点には確かなものがあると感じています。『ブラッサム』も日本の激動の100年を描く物語になると思うので、その点は信頼していいのではないでしょうか。また、櫻井さんは主人公以外の各キャラクターを描くのも非常に上手いです。登場人物が多い朝ドラでも、各人物の人生を想像させる余白を作り出してくれるのではと期待しています」
現在放送中の『あんぱん』、2025年度後期『ばけばけ』、2026年度前期『風、薫る』と、実在の人物をモデルにした朝ドラがしばらく続く。このメリット・デメリットはどこにあるのだろうか。
「史実という強固な“原作”があると物語をブレずに作ることができるというのは間違いなくあると思います。どうしても半年にわたり平日毎日放送される朝ドラは、ワンクールのドラマとは構造が違い、どれだけ良作を手がけてきた方でも朝ドラでは苦戦することが多いです。その点、史実がベースにあると、骨格が定まっている分、ある種の冒険もしやすい。一方、どうしても“ゴール”がある部分はあるので、オリジナルでしか描けないことも当然あります。現代を舞台にしたオリジナル作は難しい部分も多いと思いますが、朝ドラの幅を広げていくためにも史実縛りにはなってほしくないですね」
石橋静河と共に歩む『ブラッサム』は、朝ドラという枠組みの中でどこまで新しい物語を紡ぐことができるのだろうか。
■放送情報
2026年度後期 NHK連続テレビ小説『ブラッサム』
NHK総合にて、2026年秋~放送
出演:石橋静河
作:櫻井剛
制作統括:村山峻平、櫻井壮一
演出:盆子原誠
写真提供=NHK























