小泉今日子の“働く女性としての矜持” 『続・続・最後から二番目の恋』が切り込む労働問題

小泉今日子の“働く女性としての矜持”とは

 第1話で千明はこう述懐する。

「歳をとればとるほど、こんなに頑張って生きてきたのに、なんでこんなに社会に大切にされないんだろうと。生まれてきて、やがて老いていくことは、なんて切ないことなんだろう」

 しかし、今の女性たちが当たり前のように享受している働く場所は、先輩世代がいわば「踏み台」「捨て石」になって築き上げたものではないだろうか。小泉今日子が「なんてったってアイドル」と歌ったから、アイドルはお嫁さん候補の象徴ではなく、自分で選んだプロの職業になった。その姿は、働く女性のロールモデルたり得なかったかもしれないが、誰かがやらなければならなかった道を切り開いてはきたことは確かだ。セクハラ、パワハラも当たり前の世界の中で、時に女性であることを捨てながら、男まさりに働いてきたことを、なかったことにはされたくない。

 鎌倉の古民家は、そんな自己犠牲をしてきた千明にとっての竜宮城のようなもの。そこには長倉家という擬似家族がいて、都会で疲れた心を癒してくれる海と自然がある。キャリアウーマンたちにとっては桃源郷だ。だからこそ、働く女子にとっては、幻だと分かっていても癒やされるドラマなのだ。

小泉今日子が放つ“変わらない輝き” 『最後から二番目の恋』が愛され続ける理由とは?

この春、月9に帰ってきた『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)。11年ぶりの続編というニュースが届いた時、正直少し驚いた…

 内田有紀演じる長倉万理子は、そんな千明のファンで、「千明さんの老後は私がみます」と言ってくれる。必死で道を切り開いた先輩女性にとって、そんな後輩がいることは理想であり救いだ。しかし、千明は、そんな万理子にも「自分が本当にやりたいことをやりなさい」と自立を促す。個人的にはあまり自己犠牲がすぎるような気もするが、「顔で笑って心で泣いて」のこのダンディズムこそが、このドラマの矜持なのだろう。

『続・続・最後から二番目の恋』の画像

続・続・最後から二番目の恋

鎌倉を舞台に、テレビ局プロデューサーの主人公と、市役所で働く公務員の恋を描いたロマンチック&ホームコメディ。2012年1月に第1期の連続ドラマ、同年11月にスペシャル版、2014年に第2期が放送され、本作はその続編となる。

■放送情報
『続・続・最後から二番目の恋』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:小泉今日子、中井貴一、坂口憲二、内田有紀、飯島直子、久保田磨希、松尾諭、佐津川愛美、白本彩奈、広山詞葉、美保純、柴田理恵、浅野和之、渡辺真起子、森口博子、石田ひかり、三浦友和ほか
脚本:岡田惠和
プロデュース:若松央樹(フジテレビ)、浅野澄美、郷田悠(FCC)
演出:楢木野礼、高橋由妃、西岡和宏(フジテレビ)
主題歌:浜崎あゆみ「mimosa」(avex trax)
制作協力:FCC
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/nibanmeno_koi/
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