『続・続・最後から二番目の恋』子を想う母の気持ち 変わりゆく価値観の中変わらないもの

『最後から二番目の恋』子を想う母の気持ち

 もしも『最後から二番目の恋』シリーズが好きな理由を聞かれたなら、私は「伝えたいメッセージは確かに描かれているのに、押し付けられている気分にならないところ」と答える気がする。

 早くも第6話を迎えた『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)は、冒頭、浮かない顔をした千明(小泉今日子)が登場した。千明の心を沈めた原因は、実家・信州上田の母・有里子(三田佳子)から電話があったこと。どうやら千明の母は、娘を心配に思うあまり、父が体調不良と嘘をついて、彼女に「たまには顔を見せろ」と言うらしいのだ。

 これに千明は嘘ゆえに帰らないという態度を取る。一方の和平(中井貴一)は千明の話を聞き「何度だって騙されてあげればいいじゃないですか」「会いたいって言ってくれている親がいるうちに」「我々は早くに親を亡くした子どもたちですから」と返す。千明の背中を押したのであった。

 この「親が生きているうちに会いに行け」とのメッセージ、説明する必要もないくらいに明確かつ直接的だ。しかし、和平が自分の人生を重ねて話すからなのか、決して「説教じみている」「押し付けられている」というふうには感じない。脚本の妙であり、和平演じる中井貴一の柔らかな存在感ゆえだろうか。思わず感心してしまった。

 しかし、ここで問題が発生する。それは千明が親を安心させるために「隣に住んでいる人と、将来の約束をしたよ」と嘘をついてしまったことだ。ここで、この嘘をあえて入れるのも、このドラマのおもしろさのひとつ。真剣なシーンと、クスッと笑ってしまうやりとりのバランス感覚が“お説教”っぽさを感じさせない理由のひとつなのかもしれないと感じた。

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