西垣匠、“カメレオン俳優”として見せた新境地 『最後から二番目の恋』でさらなる躍進へ

西垣匠、『最後から二番目の恋』で新境地へ

 鎌倉を舞台に小泉今日子演じるテレビ局のプロデューサー・吉野千明と、中井貴一演じる鎌倉市役所職員・長倉和平の大人たちの青春を描くドラマシリーズの第3期『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)。キャスト陣の見た目が全然変わらなくて、前作から11年も経っていることが未だに信じられない中で、唯一時の流れを感じさせるのが、白本彩奈演じる和平の一人娘・えりなだ。

 第1期の時は11歳だった彼女もとっくに成人を迎え、いまや24歳。見た目も雰囲気もすっかり大人の女性になり、それだけでも感慨深いが、内面的な成長を強く感じさせたのが第5話だった。もともと性格がドライな上に、前作までは思春期真っ盛りで和平に対して辛辣な態度を取っていたえりな。

 その彼女が第5話で和平とお酒を酌み交わしながら、当時のことを謝罪した上で「人としては、好きだなって思う」と素直な気持ちを打ち明けるのだ。きっとドラマを通してえりなの成長を見守ってきた視聴者もつい親心で目頭が熱くなると同時に、「色々なことがあったけど、こういう瞬間に立ち会えるなら頑張って生きてきた甲斐があったな」と思わされたのではないだろうか。

 そんなご褒美のような時間を生み出した功労者は、えりなが海岸で出会った優斗(西垣匠)だ。なぜかえりなが海に流れ着くものでアートを作っていることを知っていて、いつも無言でゴミを渡してくる少し変わった青年だが、それはランチで訪れた店で和平が仕事仲間と交わしていた会話を偶然耳にしたことがきっかけ。そこで和平がえりなを「ファザコン気味の娘」と仕事仲間に紹介していたことを優斗が本人に伝え、前述のシーンが生まれた。

 演じる西垣匠はまだデビュー5年目だが、数多くの話題作に出演しているため、熱心なドラマウォッチャーなら何度か目にしたことがあるに違いない。しかし、改めて出演作を振り返ってみると「え!? この役もあなたが演じてたんですか」と驚く人が多いのではないか。それくらい作品ごとにガラリと雰囲気を変える俳優なのだ。

 デビュー作は和山やまの大ヒット作を実写ドラマ化した『夢中さ、きみに。』(MBS)。シュールな男子高校生たちの日常を描いた青春群像劇で、西垣は最終話に後輩をこき使うヤンキーの先輩役でゲスト出演している。出番は少なめだが、悪役に徹しながらも、作品のテイストに合わせて、クスッと笑える絶妙なバランスで演じていたのが印象的だ。『ドラゴン桜2』(TBS系)では、眉毛なしの丸刈り頭にピアスというイカつい見た目に。西山潤と抜群のコンビネーションで、桜木(阿部寛)の“舎弟”として活躍する愛すべき不良生徒を作り上げていた。

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