『あんぱん』高橋文哉と原菜乃華の仲直り大作戦 “椰子の実”が暗示する若者たちの運命

『あんぱん』高橋文哉と原菜乃華の仲直り作戦

 『あんぱん』(NHK総合)第32話では、海辺に嵩(北村匠海)たちの歌声が響いた。

 御免与町に帰省した嵩だったが、のぶ(今田美桜)と会いたがらない。電話でけんかしてから気まずくなり、互いを避けるようになっていた。そんな二人に周囲の方がしびれを切らして動き出す。

 健太郎(高橋文哉)とメイコ(原菜乃華)が考えたのは、口実をもうけて海へ連れ出すこと。柳井家に居候中の健太郎は「玄界灘の潮風とどげん違うんか確かめたか」と言い、千尋(中沢元紀)を巻き込む。メイコはあんぱんの行商を頑張って、のぶにお願いする。

 先に海に着いた嵩たちの会話。豪(細田佳央太)が出征したと知り、嵩の表情が硬くなる。身近な人が戦地へ赴いたことを知らずに、のぶに言ってしまったことを後悔しているようだった。嵩はのぶを見てあわて、嵩がいると思っていなかったのぶも眉間にしわを寄せる。心の準備ができていない様子が伝わってきた。

 健太郎はのぶと初対面。こういうときに健太郎の人なつこさは役に立つ。あんぱんをほおばって満面の笑みを浮かべる健太郎を見ているだけで、こっちまで明るい気持ちになってくる。何かしゃべらないといけない空気になって、のぶが出したのは屋村(阿部サダヲ)の話題。銀座の店で働いていたことについて「誰でも知られとうないことある」という弁解は、ごめんと言い出せない互いの気持ちを代弁するものでもあった。

 これまでいったいいくつのあんぱんを食べてきたのだろう。小道具として大活躍のあんぱんはのぶと嵩の会話のきっかけとなり、二人が話している間、あんぱんを食べる周囲の沈黙をもたらした。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「リキャップ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる