『あんぱん』は「週タイトル」にも注目! 朝ドラだからこそのタイトルバック制作秘話も

NHK連続テレビ小説『あんぱん』が現在放送中。“アンパンマン”を生み出したやなせたかしと暢夫婦をモデルに、何者でもなかった2人が“逆転しない正義”を体現する『アンパンマン』にたどり着くまでを描く。
初回放送から大きな話題を呼んだのが、VFXを用いたタイトルバック(オープニング映像)。制作統括の倉崎憲は「『朝ドラっぽくない』という言葉があがるのは承知の上」と思いを述べ、映像・主題歌ともに「チーム一同で覚悟を決めて挑戦した」と胸を張る。
映像は、コンペによってVFXアーティスト・涌井嶺のコンセプトを採用。「映像に嵩(北村匠海)は出てきませんが、のぶ(今田美桜)と嵩の関係性を表すようなメッセージ性を感じてもらえたらいいなと。あの光はのぶが嵩を導いているように見えるし、逆にのぶが1本の光に導かれているようにも見える。最終的にアンパンマンのシルエットにつなげることで、彼女のすべての経験が嵩のいろんな作品につながっていく様子を表現しています」

今田の衣装が劇中の“のぶ”ではないことにも注目が集まっているが、「戦前、戦後、現代とどの衣装にするのかといった議論もありましたが、今を生きる今田美桜さんに“現代人の代表”として、戦前から戦後に向けた時代の移り変わりを旅してもらうことにしました」と意図を語り、「朝ドラは半年間、毎朝放送されるものですから、第1週、第10週、最終週と、それぞれ受け取り手にいろんな解釈をしてもらえたら。全26週を見終わった後に、視聴者のみなさんにどう捉えていただけるかが一番大事だと思っています」とした。
映像を彩る主題歌は、RADWIMPSの「賜物」。倉崎は、綿密なディスカッションを重ねたと振り返る。
「世の中のみなさんが知っているやなせたかしさんと暢さんを描くにあたって、相当深いところに行かなければダメだな、というのが共通認識でした。アンパンマンに辿り着くまでに辛いことやうまくいかないことが山ほどあって、喜びだけでなく哀しみもたくさんあった中で、“生命力”は一つ要素として大事ですよねと。やなせさんもそうですし、なにより嵩をひっぱっていった主人公・のぶの疾走感、突破力も大事にしてほしいとお話ししました。暢さんの牽引力がなければ、漫画家・やなせたかしだったりアンパンマンは生まれていなかったかもしれないわけですから」
朝ドラ主題歌のイメージにとらわれずにチャレンジする。そんなテーマのもと生まれた本楽曲について、「賜物とは一体なにかというと、一つは命そのものですよね。『あんぱん』は“一度きりの人生、全員に平等に与えられた命をどう生きていくか”という普遍的なテーマを描く物語で、その想いをRADWIMPSさんが1年かけて楽曲に落とし込んでくださいました。『これだけ一曲に、時間と労力と気持ちを費やしたのは初めてです』とおっしゃっていましたし、我々にとっても思い入れのある曲になりました」と感慨深げに語った。
また『あんぱん』を観る上で、注目したいのが週タイトル。「人間なんてさみしいね」(第1週)に始まり、これまでやなせの言葉や作品名が引用されてきたが、倉崎は「週タイトルは脚本の中園(ミホ)さんと各担当演出とブレストしながら決めていて、当初から『やなせさんの言葉や詩集から取りたいね』と話していました」と打ち明ける。




















