『対岸の家事』が描いたそれぞれの“ロールモデル” “対岸にいる”陽子が礼子に伝えた言葉

「ビュッフェと人生は似てる。たくさんの選択肢があって、どれを自分の皿に乗せるか悩むけど、全部は乗せられない」
新しい時代のロールモデルになろうとする中谷(ディーン・フジオカ)に、思いがけず会社からロールモデルとして講演会に登壇するよう依頼されるワーママの礼子(江口のりこ)、そして時代が求めるロールモデルに当てはめられようとする詩穂(多部未華子)。それぞれが“ロールモデル”にとらわれた『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』(TBS系)第6話。

自ら望んで専業主婦の道を選んでいるものの「社会のために」復職を勧められる詩穂は、モヤモヤとしたわだかまりを抱え悩む。反対に、「時代が求める」あるべき夫の姿を求めて育休を2年間取得していたら、その間に同僚が出世を遂げていて急に焦り始める中西。第二子出産計画を緻密にシュミレーションするも、妻・樹里(島袋寛子)に「なんで1人で計画するの? 2人のことなのに」と一蹴されてしまい、何やらこの夫婦の間にも暗雲が立ち込め始める。

元々、社内の講演会での登壇者のアサインを頼まれていた礼子は、営業部時代の憧れの先輩で、会社で初めて女性管理職になった陽子(片岡礼子)に声を掛けていた。詩穂に復職について聞かれた際に礼子が「憧れていた先輩がいたから仕事を辞める選択肢はなかった」と話していた先輩こそがこの陽子だが、実際に2人の間には何とも言えない気まずそうな空気が流れていた。

元々同じ場所にいながら、自分が選ばなかった道を行く同性同士にはそれぞれ複雑な感情が残るものなのだろう。陽子が人生をビュッフェに例えて話した冒頭の言葉には、実感がこもっており大きく頷いてしまう。





















