『TO BE HERO X』はなぜ2Dと3Dを融合させたのか? リ・ハオリンが明かす自身のルーツ

中国のアニメ監督で日本で最もよく知られているのは、リ・ハオリンだろう。これまで、『時光代理人 -LINK CLICK-』や『天官賜福』、総監督などを務めてきた人物で、「HAOLINERS 絵梦アニメーション」創業者、bilibiliアニメ制作センター総経理も務めている。2025年は3DCGアニメ『RINGING FATE』が1月からフジテレビのB8stationで放送され、4月からはbilibiliとアニプレックス共同制作の『TO BE HERO X』がフジテレビ系で放送中だ。
「AnimeJapan 2025」にあわせて来日したハオリン監督に、最新作の内容や自身の創作姿勢について話を聞いた。
2Dと3Dの融合に挑んだ『TO BE HERO X』
ーー『TO BE HERO X』がどのような発想で誕生したのか教えてください。
リ・ハオリン(以下、ハオリン):この作品はコロナ禍の時期に思いつきました。みんなが未知のウイルスに苦しんでいるとき、人々に自信や信頼感を取り戻してほしいと思い、考え始めたものです。これまでのヒーローものとは異なる新しいものを目指し、視聴者に未来への希望を届けたいと考えました。
ーー2016年の『TO BE HERO』から続くシリーズの3作目になりますが、物語のつながりはあるんですか?
ハオリン:いえ、物語としてのつながりはなく、ヒーローに対する考えや想いを引き継いでいる作品です。ヒーローとしてどう生きて、いかに自分らしくそれを全うしていくのかという姿勢においては共通しているものがあります。
ーー『TO BE HERO X』は、非常にビジュアルがユニークですね。どんな点にこだわりましたか?
ハオリン:大きく2つあります。私はファッションにもこだわりがあるので、作品の中ではファッショナブルな感覚を忘れずにいたいということ。2点目は、多彩なヒーローが登場するので、その中で一目でキャラクターの個性を見せるのはどうすればいいかを考えました。そのために色とファッションをどう組み合わせるかにかなりこだわりました。
ーー2Dと3Dを融合させたような独特のルックを作っていますが、このコンセプトについて教えていただけますか。
ハオリン:最初にこの企画を思いついたときに、2Dと3Dの世界を行き来できるヒーローがいるとカッコいいんじゃないかと思いました。そういう能力を持っているなら、映像によってそれを表現できていないといけないので、2Dと3Dをミックスした映像に挑戦しようと考えました。今の中国のアニメ制作では、3Dと2Dを混ぜて作画の力とCGの表現力を活かしていこうという考えが出てきていて、技術力も上がってきています。ですので、中国アニメの今の制作力を世界の方に観ていただきたいという思いもありました。ならば、このように両者のいいところを混ぜた作り方をするべきだと考えたんです。
描くべき内容に合わせて手法を選んでいる

ーー2Dの世界と3Dの世界を行き来するキャラクターが描かれることになるとのことですが、『RINGING FATE』でも現世と「崆(くう)」という生と死の間の2つの世界がある物語を作っていました。ハオリン監督は、2つの世界を行き来するような物語がお好きなのですか?
ハオリン:そういうわけではないですが、今のアニメ技術の発達を考えていろいろなチャレンジをしていると組み合わせたくなるんですよね。その組み合わせを活かせる物語は何かと考えて作っているんです。新しい技術を活かした作品を視聴者に観てもらってどう感じるのか、今後につなげていきたいという思いはあります。
ーー『RINGING FATE』は3DCGが主体となる作品でしたが、『TO BE HERO X』では、2Dと3Dの分量はどうなりますか?
ハオリン:6割くらいが作画、4割が3DCGくらいの感じになっています。
ーーハオリン監督は、手法としては作画とCGどちらが好きですか?
ハオリン:好みでは考えておらず、物語にあわせて選択している感じですね。表現したいことや物語に応じて、最適な手法を選ぶ意識でいます。





















