本当の“中国アニメの驚異”ついに到来? 驚き、泣けまくる冬アニメ『時光代理人』
「中国アニメの驚異、日本アニメの危機!」のような話をこの10年ほど何度も耳にしている人も多いだろう。この刺激的な話題に反してこれまで日本では中国産のアニメが継続的に大きな存在感を持つことはなかった。しかしその状況もついに崩れるかもしれない。
参考材料のひとつとして、Googleトレンドで「中国アニメ」の検索結果を見てみよう。この5年間で右肩上がり傾向にあるのは間違いなく、その中でも近年に2つの大きな波があるのがわかる。2020年10月は映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』の日本語吹替版の公開が迫った時期であり、2021年7月はTVアニメ『天官賜福』の放送が始まったタイミングだ。どちらも『鬼滅の刃』や『Fate』シリーズといったヒット作を手がけているアニプレックスが深く関わる作品で、その流れの最新作にあたるのが、1月から日本語吹替版が放送されている『時光代理人 -LINK CLICK-』だ。
『時光代理人』は写真の世界にダイブして撮影した者の精神に乗り移ることができる“トキ”と、写真の世界で12時間以内に起きた出来事を把握できる“ヒカル”のふたりが、さまざまな依頼を解決していくオリジナルのSFサスペンス。近年の日本アニメでは『pet』や『ID: INVADED イド:インヴェイデッド』などの路線に近い作品だ。
本作は実は日本で放送される前にも、一度本邦のTwitter上で話題になった。2021年4月、中国の一大プラットフォーム・bilibili動画で配信されるにあたってオープニング映像が先行公開されたときのことで、登場キャラクターがぬるぬるとタットダンスをする様子がアニメファンの驚きを呼んだ。
この“ぬるぬる”の良し悪しはさておき、これはあくまでオープニング映像。本編はそうしたリッチな方向性の“すごい作画”こそ控えめだが、それでも端正なデザインのキャラクターの感情の機微を十全に感じられる映像だ。過去に日本で放送された作品では『TO BE HEROINE』のアクションシーンなども印象的だったが、こちらも方向性こそ違えどクオリティは高い。