『名探偵コナン 隻眼の残像』前作超えのスタート 週末興収は2位『ドラえもん』の37倍

『隻眼の残像』前作超えのスタート

 4月第3週の動員ランキングは、青山剛昌原作による人気アニメシリーズの劇場版28作目『名探偵コナン 隻眼の残像』がオープニング3日間で動員231万5000人、興収34億3900万円をあげて初登場1位となった。最終興収158億円を記録し、シリーズ歴代最高記録を更新した昨年の『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』のオープニング3日間の興収は33億5200万円。今年の出足はそれを約3%上回っていて、2年連続でシリーズ歴代最高記録更新、そしてちょっと気が早いが2年連続で年間興収1位となる可能性も出てきた。

 記録を更新する上で一つの鍵となるのは競合作品となるが、ここ数年、『コナン』映画の公開時期は有力作品が露骨に「逃げる」傾向にあって、先週末の時点では、『名探偵コナン 隻眼の残像』と同時期に公開されている作品には競合作品がゼロという状況だった。以下、なかなかショッキングな数字なので、心の準備を。

 先週末の『名探偵コナン 隻眼の残像』の興収は、公開7週目を迎えた動員2位『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』の37倍、同じく公開7週目を迎えた動員3位『ウィキッド ふたりの魔女』の36倍、初登場作品では『名探偵コナン 隻眼の残像』に次ぐポジションの動員4位『劇場版 僕とロボコ』の55倍だ。2020年の『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』以降、シネコンのスクリーンを一つの作品がほぼ独占をする度に、作品の選択肢が奪われることを嘆く声が相変わらずソーシャルメディアを賑わせているが、この数字から作品の選択肢は「奪われている」のではなく、観客自らが「投げ捨てている」ことがわかる。むしろ、この状態でよくぞシネコンは他の作品もそれなりに上映しているとさえ思う(もちろん、都市部ならば独立系の劇場において上映作品の多様性はいつだって確保されている)。

 とはいえ、いつまでも他の作品が「逃げる」わけにはいかず、今週末には実写外国映画では『マインクラフト/ザ・ムービー』、実写日本映画では『#真相をお話しします』と、公開初週に『名探偵コナン 隻眼の残像』から1位を奪取することは100%あり得ないとしても、それなりに健闘しそうな作品が公開される。逆に言うと、その2作品のいずれかが化けない限り、昨年の『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』の記録、6週連続1位を超える可能性も十分にありそうだ。

■公開情報
劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)』
全国東宝系にて上映中
キャスト:高山みなみ(江戸川コナン)、山崎和佳奈(毛利蘭)、小山力也(毛利小五郎)、林原めぐみ(灰原哀)、高田裕司(大和敢助)、速水奨(諸伏高明)、小清水亜美(上原由衣)、岸野幸正(黒田兵衛)、草尾毅(安室透)、飛田展男(風見裕也)、鮫谷浩二(平田広明)
原作:青山剛昌『名探偵コナン』(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
監督:重原克也
脚本:櫻井武晴
音楽:菅野祐悟
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ShoPro/東宝/トムス・エンタテインメント
配給:東宝
©2025 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
公式サイト:http://www.conan-movie.jp

『今週の映画ランキング』(興行通信社):https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/

 

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「映画興行分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる