『対岸の家事』当事者を追い込む“悪気ない”言葉 田辺桃子が“闘うプリンセス”に

「みんな、自分が持ってないものの話になると冷静じゃなくなるんだよ」
虎朗(一ノ瀬ワタル)のこの言葉に象徴された『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』(TBS系)第4話。誰かの当たり前やそこから溢れる何気ない愚痴が、また別の誰かにとってはとてつもない贅沢や強者による自慢に感じられることはままある。

例えば実家があっても帰れない詩穂(多部未華子)のことも、両親を亡くしており帰れる実家のない虎朗からすると、“自分と同じではない”と線引きをしてしまう。そして互いの気持ちなんてわかるわけはないとめずらしく夫婦喧嘩に発展していた。
ワーママの礼子(江口のりこ)が何気なく同僚に話した「やっぱり子どもはかわいいから。もし産みたいなって思ってる人がいたら私は応援したい」という言葉が、未婚の同僚には「持てる者は持たざる者への配慮がなくなる」と受け取られてしまう。

礼子からすれば、子どもを家から送り出すまでの朝の慌ただしさや、保育園のお迎えにダッシュする姿を知らない未婚の同僚こそ、自分のために時間を使える自由があるという意味で「持てる側」だと嘆く。どこまでいっても、人はないものねだりだとも言える。

若くて美しく、優しい病院の若先生(朝井大智)と結婚して保育士も辞めた晶子(田辺桃子)について、近隣住民は「令和のシンデレラストーリー」と持て囃し、苺(永井花奈)も本物のプリンセスと信じてやまない。そんな晶子のことを皆と同じように「なんでも持ってる人」「完璧なプリンセス」と話していた礼子も、考えを改める。彼女が不妊治療に通っていることを知り、また自の苦労を何も知らない同僚から「持てる者」と言われたことで、人は様々な事情を抱えて生きており、外から見ただけでは実際のところはまったくわからないことを改めて思い知る。





















