『日本一の最低男』の核となっている“自分のため” 『踊る』を彷彿とさせる一平と正助の約束

“自分のため”が『日本一の最低男』の核に

 そうしたなかで正助は、大森家の建物を使って民間の学童施設を始めることを決める。「社会が変わるまで、誰かが無理をして成立させる。その無理が子どもにいかないように大人が子どもを支える」と考える正助。結果的に彼が“無理”を背負うことになるわけだが、それでも彼は「自分のためにやりたいんです」とカラッとした様子で一平に言う。この「自分のため」という言葉は、考えてみればこのドラマの核ともいえるものではないだろうか。

 一平が正助たちと暮らし始めたことは選挙のため、その選挙に出る目的は(今回の冒頭の夢のなかで言うようにテレビ局の奴らを見返すためという)詰まるところ「自分のため」であることから、一平=“最低男”という大前提があるわけだが、ここまで描かれてきた通り彼の「自分のため」は回りまわって誰かのためへとつながっている。

 「〜のため」という目的はいくらでも虚飾できるが、それによって実現された結果は虚飾しようがない正直なものだ。「社会が変わるまでやれることをやろうと思う」という正助は、一平に「政治家になって社会の仕組みを変えてください」と頼む。このやり取りは、どこか『踊る大捜査線』(フジテレビ系)の青島と室井の“約束”を彷彿とさせる。

『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』の画像

木曜劇場「日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった」

“日本一の最低男”である主人公・大森一平が、家族を、社会を、そして日本を変えていくために奮闘する姿を描く完全オリジナル作品。

■放送情報
『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:香取慎吾、志尊淳、冨永愛、増田梨沙、千葉惣二朗、向里祐香、佐野玲於、橋本じゅん、安田顕ほか
脚本:政池洋佑、蛭田直美、おかざきさとこ、三浦駿斗
演出:及川拓郎ほか
プロデュース:北野拓ほか
主題歌:香取慎吾「Circus Funk(feat. Chevon)」(トイズファクトリー)
制作協力:テレパック
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/saiteiotoko/
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