『キャプテン・アメリカ:BNW』北米V2 『ロングレッグス』監督の新作ホラーが主役に

『ロングレッグス』監督の新作ホラーが好発進

 2月21日~23日の北米映画週末ランキングは、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の2連覇となった。本作は劇場公開前から北米メディアによるネガティブキャンペーンが予感され、異様に辛辣なレビューや製作トラブル報道も飛び出した(後者は監督が否定)が、“大失敗”を期待した一部メディアにとっては期待外れの結果だろう。

 週末3日間の興行収入は2820万ドルで、初週末の8884万ドルからマイナス68.3%となった。確かに下落幅は大きいが、スーパーヒーロー映画が2週目に興行収入を大きく落とす傾向は10年以上前から変わっていない。下落幅でいえば、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)史上最も厳しい結果だった『マーベルズ』(2023年)のマイナス78.1%ほどではなく、『ソー:ラブ&サンダー』(2022年)と『ブラック・ウィドウ』(2021年)のマイナス67.7%に近い数字だ。

『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』©2025 MARVEL.

 本作は『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021年)とのつながりが前提で鑑賞のハードルが高く、批評家と観客の評価が賛否真っ二つだったことを踏まえれば、本作の成績はひとまず通常運転どころか善戦と見ていい。ファンの反応が絶賛に染まらなかった以上、誰も『デッドプール&ウルヴァリン』(2024年)や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(2023年)と同等の成功は期待していなかったはずだ。

 そもそもMCU映画が怒涛の進撃を続けていた『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)は6年前、『キャプテン・アメリカ』シリーズの前作は9年前である。「スーパーヒーロー疲れ」の言説が語られはじめてからさえ4~5年が経過した。MCUの置かれている興行状況は以前とは大きく異なり、いま必要なのは、個別の作品がどのような成績を収めており、その結果としてフランチャイズ全体がいかに拡大・縮小するかを見ていくことだろう。

『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』©2025 MARVEL.

 『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の製作費は1億8000万ドルで、MCU作品としては比較的小規模。全世界興行収入は2億8940万ドルで、損益分岐点は4億2500万ドル程度と推測されている。コスト・成績ともに、近年では『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021年)がモデルケースだとみられる。

 したがって今週の主役は、実は『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』ではなく、むしろ第2位に初登場した『The Monkey(原題)』のほうである。

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