『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』北米No.1、期待以上の1億ドル発進

『キャプテン・アメリカ:BNW』北米No.1

 新たなキャプテン・アメリカが、全米の映画館で華々しいデビューを飾った。

 2月14日~16日の北米映画週末ランキングは、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』が初登場No.1を獲得。興行収入は週末3日間で8850万ドル、プレジデントデー(祝日)の月曜日を含む4日間では推定1億ドルというスタートダッシュとなった。

 本作はマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の映画第35作で、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)で卒業した初代キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)に代わり、アンソニー・マッキー演じるサム・ウィルソンが2代目キャプテン・アメリカとして初めてスクリーンに登場した。

 また、これまでサディアス・ロス役を演じてきた故ウィリアム・ハートに代わり、ハリソン・フォードが新キャストとして参加。マルチバース・サーガのさなかにあるMCUだが、地に足のついたポリティカルスリラーとしての作風を打ち出している。

『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』©2025 MARVEL.

 ドラマシリーズ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021年)や映画『インクレディブル・ハルク』(2008年)から連なる物語とあって、鑑賞のハードルがやや高いイメージもあったが、オープニング興行収入は事前の予想を上回る結果に。現時点では、2025年の公開作品として最高の初動成績となった。

 ヒットの要因とみられているのは、大作映画に対する需要の高まりやキャスティングの多様性、そしてマーベル作品を愛するファンだけでなくファミリー&キッズ層にも作品が届いたこと。『デッドプール&ウルヴァリン』(2024年)の大ヒットで、MCUに対する一般層の関心が再び刺激されたのもひとつの理由だろう。

 なおプレジデントデーの週末に公開された作品としては、『ブラックパンサー』(2018年)や『デッドプール』(2016年)、そして『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023年)に続いて歴代第4位となっている。

 海外市場では9240万ドルを記録し、全世界興行収入は1億9240万ドル。中国市場で1050万ドルを稼いだことは、ハリウッド映画に客足が集まりにくい現地の状況を鑑みるとこれまた予想外の結果だ(『デッドプール&ウルヴァリン』のヒットがプラスに働いたとみられる)。そのほか、イギリス、メキシコ、韓国でも優れた結果を示した。

『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』©2025 MARVEL.

 製作費は1億8000万ドルなので、現在の勢いをどこまで持続できるかが興行的には最大のポイントだ。批評家と観客の反応は賛否両論まっぷたつで、映画館の出口調査に基づくCinemaScoreではMCU史上最も低い「B-」評価、またRotten Tomatoesの批評家スコアは51%と渋い数字となった。しかしその一方、観客スコアは80%と好意的。Rotten TomatoesとCinemaScoreで観客の反応がこれほど明確に分かれることは珍しく、やや奇妙な分裂現象といってもいい。果たしてこの結果は興行面にどう反映されるか。

 ちなみに昨今、北米大手メディアはスーパーヒーロー映画やコミック映画を冷ややかに見る傾向があり、本作も手放しに盛り上げない姿勢が垣間見えていた。実際に作品への批判的意見が出てくるや、一部のメディアは匿名の関係者を紹介して製作トラブルを示唆するなどのネガティブキャンペーンに走ったのである。ここで思い出すべきは、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(2024年)が異様なまでのネガティブ報道で甚大なダメージを負ったこと。メディアやSNSの数字稼ぎのために、映画が不当に蔑まれないことを願うばかりだ。

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