『その電話が鳴るとき』ユ・ヨンソクが甘い歌声披露 ツッコミどころ満載でも面白い最終話

『その電話が鳴るとき』最終話で怒涛の展開

 サオンが夕焼けの美しい場所に来ると信じるヒジュは、反乱軍の占領区域にある聖堂を訪れる。反乱軍から身を隠すヒジュの恰好が、2つめのツッコミポイントだ。頭にスカーフを巻き、反乱軍から隠れているつもりなのだ。「それで隠れているつもりなの!?」という観る者のツッコミを背に、ヒジュはずんずん進んで行き、案の定反乱軍に捕まってしまう。そこに偶然サオンが助けに来るという、「そんなバカな!(期待してたけども)」な3つめのツッコミどころが訪れる。

 銃撃戦のシーンでは、逃げる車内でヒジュの頭をかばい押さえるサオンの手にときめき、ユ・ヨンソクの上腕二頭筋があらわな逞しい腕にときめく。再会の第一声は、サオンの「私が君を捜すまで待てと言っただろ。なのになぜだ!」。危険地帯で命の危険にさらされながら、ふたりは熱い感情をぶつけ合い、ヒジュからサオンへの熱いキスが交わされる。ここでも物語序盤から見せてきた、“愛するヒジュのそばにいながら、耐えに耐える修行僧のようなサオン”が顔を覗かせるが、互いに相手から離れられないと激白し、本音を打ち明け合ったふたりはロマンティックに戦場で結ばれる(ツッコミ4)。

 そして、名前のなかったサオンは、唯一の「唯」と恋愛の「恋」から「ユヨン(唯恋)」という新しい名前をつけ、新たな名前でヒジュと結婚しなおし、“交渉人”(ツッコミ5)として新たな人生をヒジュと共に生きていく。「唯一の恋」というなんともロマンティックな命名も、少年の頃からの恋を実らせたユヨンに相応しい。そして、夫婦のその後の嬉しい姿を長めに映し出し、サブカップルのサンウ(ホ・ナムジュン)とユリ(チャン・ギュリ)も結婚して、万事めでたしで終わると思いきや、最後に大きなツッコミどころを残してくれていた。

 ラストシーンでは、武装勢力のもとへ“交渉人ペク・ユヨン”として、黒スーツに黒サングラスのユヨンが現れる。サオンのそばにドジェ(チェ・ウジン)がいるのにも嬉しくなり、ここから「交渉人ペク・ユヨン」のスピンオフ作品を見たい気持ちにさせられた。

 筋書きだけでいえば“あり得ない”展開を、ツンデレで視聴者を魅了したユ・ヨンソク、無鉄砲ヒロインのチェ・スビン、癒しのイム・チョルスや怪しいホ・ナムジュンにチェ・ウジンら俳優陣が胸を打ち、最後まで楽しませるドラマにしてくれたことに感謝したい。

 さらに、最終話では抜群の歌唱力を誇るユ・ヨンソクが、〈永遠に僕の名前を呼んで 暗闇の中に差したひと筋の光は君だったんだよ〉と甘い声で歌い上げる。視聴者を夢中にさせるケミストリーを見せたユ・ヨンソクとチェ・スビンは、MBC演技大賞でベストカップル賞を受賞し、ユ・ヨンソクは最優秀演技賞、チェ・スビンが優秀演技賞を受賞した。筆者も含めた多くの人が夢中になった本作は、スリル満点で情熱的なエンターテインメント作品だった。ペク・サオン、いや、ペク・ユヨンというキャラクターに出会えて、何度も観たくなる作品に巡り会えたことに喜びを感じている。

■配信情報
『その電話が鳴るとき』
Netflixにて配信中
出演:ユ・ヨンソク、チェ・スビン、ホ・ナムジュン
制作:パク・サンウ、キム・ジウン
(写真はMBC公式サイトより)

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