『その電話が鳴るとき』ユ・ヨンソクが甘い歌声披露 ツッコミどころ満載でも面白い最終話

『その電話が鳴るとき』最終話で怒涛の展開

 Netflixで配信中の『その電話が鳴るとき』が1月4日に最終話を迎えた。本作は、ユ・ヨンソクとチェ・スビン主演のロマンススリラーとして、“あり得ない展開”の連続が評判を呼び、視聴者のハートを鷲掴みにして日本ランキング、世界ランキング共に常に上位入りのまま物語の幕を閉じた。本稿では第11話、最終話を中心にご紹介したい。(以下、ネタバレあり)

 ユ・ヨンソク演じる大統領室報道官のペク・サオンと、チェ・スビン演じる妻で手話通訳士のホン・ヒジュは、政略結婚3年目の仮面夫婦として暮らしていた。そんなある日、1本の電話が夫婦の関係を変えていく。

 サオンは、ヒジュと結婚した3年前を思い起こしていた。結婚式の夜、ふたりが初めて暮らし始めた日に、サオンはヒジュにスマホのメッセージで寝室が別々なことを伝える。本当は、ヒジュのことが好きでたまらないのに、翌朝もヒジュに冷たく振舞うサオン。ヒジュが行方不明になった今、その時の事を思い返し、「“君のせいで眠れなかった”と告げていたら……」と自身の行動を悔やむ。

 その後、ヒジュの持ち物が見つかるが、サオンはヒジュは生きていて、母ギュジン(チュ・サンミ)が、自分を苦しめるために監禁していると気づく。ヒジュはミン室長(ホン・ソジュン)によって助け出されるが、監禁部屋から逃げ出した拉致犯「406」こと本物のペク・サオン(パク・ジェユン)に銃で狙われていた。そこへサオンが駆け付け、ヒジュを抱きしめる。ヒジュを助手席に乗せ、406と対峙するサオンだが、406から耳打ちされた言葉を聞き凍りつく。サオンは、悲しげな表情で涙を流してヒジュを振り返った。

 事件は解決するも、サオンはヒジュの前から姿を消してしまう。カン課長(イム・チョルス)から、サオンが愛情表現の方法を知りたがっていたことを告げられたヒジュは、課長にサオンの話をせがむ。

 カン課長を演じたイム・チョルスは、本作に欠かせない存在だった。緊迫感溢れるストーリーの中で、コメディパートを担ったイム・チョルスは、『愛の不時着』以降、『ヴィンチェンツォ』『還魂』とこの人が出てくると癒される「和み系キャラ」として名バイプレーヤー街道を歩んでいる。人情味あふれるお茶目なキャラクターを演じさせたら、今イム・チョルスの右に出る人はいないのではないだろうか。彼が主人公を演じる作品も観てみたい気持ちにさせられる。

 サオンを待つヒジュの元に、クリスマスの夜22時に「604」から始まる電話がかかってくる。ヒジュは、「604」の国番号がアルガンであり、さらにアルガンの手話学校から寄付のお礼が届いたことから、記者ヒョクジン(コ・サンホ)の元を訪ねる。過去にサオンと共にアルガンで従軍記者をしていたヒョクジンにサオンがいそうな所を聞き出し、内線地域であるアルガンに渡航する。最終話で突如あらわれた「アルガン」なる国。突拍子もなく出てきたと思いきや、すでに第1話で伏線は張られていたのだ。

 第1話の冒頭で、サオンが報道官として速報を伝えたのが、アルガンの武装勢力についてだった。カン課長が「報道官の経歴が話題です。FBIやNY市警で学んだ交渉の専門家だから、報道官に交渉させろと大騒ぎで……」とのちの“交渉人”としての布石も打っている。ちなみに、このすぐ後に拉致犯406から初めての電話がかかってくるが、サオンの好きな夕焼けが待ち受けとなっているのがチラリと映るのを確認するのも観返しておきたいポイントだ。片付いていない紛争解決の尽力に、サオンはアルガンへ行ったのだろう。そこにヒジュが、またもや無謀にも1人で、およそ内戦している国に渡航する格好ではないヒラヒラレースのワンピースで出かけて行く。サオンに会えるのかもしれないのだから、乙女心ということにしておきたいとは思うも、ここから“ツッコミ劇場”がヒートアップしていく。無鉄砲ヒロインのヒジュがやらかしていくのだ。

 ヒジュは、ヒョクジンからサオンが夕焼けが好きで、アルガンの夕日スポットで写真を撮りまくっていたと聞き、子供の頃のサオンを思い出す。少年時代のサオン(イ・ジェジュン)は、怪我をしたヒジュ(シン・ヨヌ)をおぶりながら夕焼け空を見て、「真っ赤だね、まるで君の頬みたい」と言うのだが、このときすでにヒジュはサオンのことが好きだったのだ。初恋同士であるヒジュとサオンが、互いに自分の気持ちを伝えるのに随分と時間がかかってしまったものだ。

 公式サイトによると、本作には「『電話恐怖症』というものが生まれるほど、コミュニケーションの仕方が変わった時代に、本音を覆い隠していた私たちが慰めと共感を得られるような物語を』という企画意図があったという。本音を隠し続けてきたサオンとヒジュが、アルガンの地でようやく真の夫婦になる日がやって来るのだ。

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