『SMILE/スマイル』続編が北米No.1 ジャック・ニコルソンの息子が父激似の“笑顔”披露

『SMILE/スマイル』続編が北米No.1

 ハリウッドは「ホラー映画の秋」を迎えた、と言えるのかもしれない。10月18日~20日の北米週末ランキングは、『SMILE/スマイル』(2022年)の続編映画『Smile 2(原題)』が初登場No.1に輝いた。

 オープニング興行収入(3日間)は、3619館で2300万ドル。前作の初動成績2260万ドルをわずかに上回るスタートとなった。海外市場でも同じく2300万ドルを記録しており、累計興収は4600万ドル。製作費は2800万ドルと、前作からは増加したもののやや抑えめ。パラマウント・ピクチャーズが期待した通りの滑り出しだという。

 「その笑顔を見たら死ぬ」というコンセプトを継承した本作は、ストーリーと登場人物を一新。実写版『アラジン』(2019年)のジャスミン役で知られるナオミ・スコット演じるポップスターのスカイ・ライリーが、スキャンダルからのカムバックツアーを控えるなか「笑顔」の恐怖に襲われる。監督・脚本には、前作を手がけたパーカー・フィンが復帰した。

 パラマウントは前作の北米公開時、不気味な笑顔を浮かべた人々をテレビの情報番組やスポーツ中継などに続々と送り込むという恐怖のプロモーションを展開。これがSNSでも大きな話題を呼んだことが映画の興行的成功につながった。続編である本作でも、いくつかの広報的な作戦が仕掛けられている。

ホラー映画の強みを生かした『Smile』が北米No.1 恐怖の野球中継プロモが話題に

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 ひとつは主人公の設定がポップスターであることを活かし、6月上旬から、謎のアーティスト、スカイ・ライリーのプロモーションをSNSとリアルの両方で展開したこと。中旬には、予告編の公開とともにライリーのファーストシングルがリリースされ、9月にはセカンドシングルが、10月11日にはアルバム(EP)がリリースされた。実際に歌手としてのキャリアをもつナオミ・スコットを起用したからこその戦略である。

 また、前作に続いて不気味な笑顔を浮かべた観客をスポーツ中継に登場させたほか、今回はニューヨークやロサンゼルス、シカゴ、イギリス・ロンドンなどの各都市に「笑顔の人々」が突如登場するというパフォーマンスも実施している。

 
 
 
 
 
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 映画ファンの間で大きな話題を呼んだのは、名優ジャック・ニコルソンの息子であるレイ・ニコルソンがライリーの元恋人役として出演し、『シャイニング』(1980年)へのオマージュを演じたこと。父親そっくりの「笑顔」は、初期のポスタービジュアルから公開後の現在までプロモーションに繰り返し使用されている。

 
 
 
 
 
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 作品の評価も上々で、Rotten Tomatoesでは批評家スコア83%・観客スコア84%、劇場の出口調査に基づくCinemaScoreでは「B」と、いずれも前作を上回る成績となっている。続編ゆえに新たな観客をどこまで引き込めるかがポイントだが、予習不要の新たな物語となったこともあり、口コミ効果にも期待できそうだ。

 なお、前作『SMILE/スマイル』は日本では劇場公開されず配信スルーとなった。続編から劇場公開が実現するケースもあるが、果たして本作はどうなるか。現時点で日本公開は未定となっている。

 『テリファー 聖夜の悪夢』は、前週の首位から第3位までランクを落としたが、週末興収は930万ドル、前週比マイナス50.8%と堅実な興行を継続中。製作費200万ドルに対して北米興収3621万ドルという大成功だ。興味深いのは、劇場側がR指定扱いとしている本作を鑑賞するため、子どもたちが『野生の島のロズ』のチケットを購入し、こっそりスクリーンに忍び込んでいるのではないかという推測もなされているところ。逆に言えば、今週第2位の『野生の島のロズ』は、北米で配信リリースが始まったにもかかわらず、そんな疑いがかけられるほどの好調ぶりなのだ。

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