滝藤賢一、『虎に翼』で活きる型破りな芝居 “遊び心”に満ちた朝ドラ常連俳優の安心感

滝藤賢一、『虎に翼』で活きる型破りな芝居

 特に自身の代表作『探偵が早すぎる』(読売テレビ・日本テレビ系)シリーズの千曲川光を演じる時は、一段と伸び伸びしている。同作は犯罪防御率100%の“早すぎる探偵”千曲川が、巨額な遺産を手にしたヒロイン・一華(広瀬アリス)のもとに次々と送り込まれる凶悪な刺客たちを返り討ちにしていくコメディ。推理の鮮やかさはもとより、最大の見どころとなっているのは立ち位置はヒーローなのに、時折ヴィランに見えてしまうほど自由奔放な千曲川の振る舞いだ。過剰な芝居でしっかりと笑いを取れるのは、演じる滝藤本人が笑わせようとは微塵も思っておらず、良い感じに肩の力が抜けているからだろう。その粋でしなやかな身のこなしが見るものを夢中にさせる。

 寅子が花岡(岩田剛典)の死を告げられる第10週ラストの衝撃も、次回予告で映し出された滝藤演じる多岐川のコミカルな言動で一気に吹き飛んでしまった。本作で制作統括を務める尾崎裕和氏曰く、「(多岐川は)モチーフにしている方にいろいろと面白いエピソードがあり、エキセントリックに見えてしまうキャラクター」(※)とのことで、予告でもなぜか滝に打たれていたり、寅子たち室員に変なポーズを強要したりと、かなりの変わり者のようだ。一方で、彼は家庭裁判所の設立に尽力し、寅子に大きな影響を与える人物でもある。

 そんな滝藤にとっても、おそらく同じく法曹の人間である花岡の死は衝撃だったのではないだろうか。予告で多岐川が「法を司るわれわれは、彼の死を非難して、怒り続けねばならん!」と声を震わせて語る場面だけでも、滝藤の名演が光っており、思わず涙してしまった。確かな演技力に下支えされた俳優・滝藤賢一の自由な暴れっぷりに期待したい。

参照
https://realsound.jp/movie/2024/06/post-1678658.html

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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