滝藤賢一の一挙手一投足が美しい『ひみつのなっちゃん。』 “自分らしく生きる”とは何か

『ひみつのなっちゃん。』滝藤賢一が美しい

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、来月人生で初めて結婚式に出席する花沢が『ひみつのなっちゃん。』をプッシュします。

『ひみつのなっちゃん。』

 卒業式、成人式、結婚式……と人生には何度か式典に出る機会がありますが、その中で唯一本人が出席できない不思議なイベント。それがお葬式です。今回紹介する『ひみつのなっちゃん。』は、そんなお葬式をきっかけに始まります。

 みなさんは自分のお葬式がどんなふうに行われるのか、想像したことはあるでしょうか。母方の祖父が亡くなって、初めて神道式の葬儀に参列した際、神道ではお経ではなく、故人の生い立ちをまとめた祝詞があげられるということを知りました。

 「読書に勤しみ、模型作りを嗜み、盆栽を育て〜」と多趣味だった祖父の生涯が読み上げられる中、自分が今死んだら祝詞にどんな単語が入るのだろうと少し不安になった覚えがあります。

 本作のタイトルにもなっているなっちゃん(カンニング竹山)は、女装してダンスパフォーマンスを行うドラァグクイーンとして、その界隈では伝説的な存在でした。しかし、なっちゃんは秘密主義で、田舎に住む親類には自身が女性であること、東京でドラァグクイーンをしていることを内緒にしていたのです。

 そんななっちゃんが亡くなったことをきっかけに、ドラァグクイーン仲間であったバージン(滝藤賢一)、モリリン(渡部秀)、ズブ子(前野朋哉) は久しぶりに再会を果たします。3人はなっちゃんの秘密を守りつつ、最後の別れを告げるため郡上八幡で行われる葬儀に参列することになります。

 なっちゃんは映画冒頭ですでに亡くなっているので、カンニング竹山さんは死体役としてしか登場しません。ですが、後輩であったバージンたちからの慕われ方、そして、松原智恵子さん演じる母親の語る言葉から、自然と生前の姿が浮かびあがってきます。

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