出口夏希の“媚びない愛嬌”という武器 『ブルーモーメント』に“緩急”を与える存在に

出口夏希の”媚びない愛嬌”という武器

「今まで救えなかったこぼれ落ちてった命、でもSDMだから救える命がある。俺はそう信じてる」

 気象災害から人命を守るために活動するSDM(特別災害対策本部)の奮闘が描かれる『ブルーモーメント』(フジテレビ系)。その中でチーフ/気象研究官を務める主人公・晴原柑九朗(山下智久)の言葉だ。

 正確な気象予想で人命を助けることに全神経を集中させる晴原と、助手として雇われた雲田彩(出口夏希)の初対面は最悪だ。彩に目を合わせず「不採用」と言い渡す晴原に、彩は怯まず食ってかかる。癖の強そうないかにもとっつきにくそうな上司に対して、対等に自分の言い分は通す“打てば響く”彩の反射神経の良さと気の強さが瞬間にして伝わる。

 ポーカーフェイスな晴原に対して喜怒哀楽を剥き出しにできる彩という助手がいるからこそ引き出されるテンポの良さがあり、彼の魅力が立ち上る。さらに、帰国子女の彩は感情的になると思わず中国語が飛び出すという直情型のキャラクターで、晴原といると、“動”と“静”、“陽”と“陰”の緩急が自然と生まれる。

 そして、失礼のラインをギリギリ攻め合うような2人の掛け合いながら、それが嫌味にならずうるさく感じてしまわないのは、出口の持つ一本気な雰囲気と媚びない愛嬌があるからこそだろう。

 「気象に興味がある」わけではないが「気象に興味がないとも言っていない」という頓知のきいたやり取りは、実は彼女が気象にまつわる悲劇や傷を抱えており、それに少しでも触れられまいとする護身術のようなものであることがすぐにわかる。

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