出口夏希の“媚びない愛嬌”という武器 『ブルーモーメント』に“緩急”を与える存在に
彼女には姉・真紀(石井杏奈)と共に3年前につむじ風によって被災した過去があり、そして自分だけは無傷で姉は後遺症を抱えることになったようだ。
ドライバー兼料理人で災害孤児のひかる(仁村紗和)は、被災という圧倒的理不尽について「ただただ運が悪かっただけ」という唯一の答えに辿り着いたとしていたが、彩の中では、まだまだ消化不良で現在進行形で巻き起こる感情が湧いてくるのをなんとか抑えているようだ。あまりに身近な姉妹という関係の中で、ほんの少し目と鼻の先の距離で明暗が分かれてしまった残酷さに、自分だけが助かってしまった事実に苦悩し続けているからこそ、それを悟られまいと普段は気丈に振る舞う。そんな苦悩さえも贅沢で身勝手なことのように思えてしまい、誰にも打ち明けられず自身を責め続ける。災害の現場で自分のことのように傷つき人知れず共鳴する彩の繊細さは、災害が起きた際に何もできない自分への悔しさやもどかしさにも繋がっていったようだ。
もっと苦しい思いや葛藤を抱えることになるかもしれないのに、それを背負って立つように気象予報士を目指そうとする彩は、苦難を誰のせいにもせず自力で自分の傷に立ち向かおうとする人だ。
『君が心をくれたから』(フジテレビ系)では、朝野太陽(山田裕貴)の妹の春陽役を好演していた出口。春陽もまたはっきりとした物言いの裏に家族想いで自分のことよりも周囲を優先するようなところが垣間見えていた。
『いちばんすきな花』(フジテレビ系)では、4人の主人公それぞれに違う場所で影響を与えていたキーパーソン・志木美鳥(田中麗奈)の大学時代を熱演。本人が望むと望まざるとにかかわらず周囲に溶け込みきれない違和感を纏っていて、周囲からの興味を刺激してしまう要素を持ち合わせてしまった役どころを自然体で演じのけた。寂しげなのに凛とした不思議な存在感を漂わせる美鳥から目が離せなくなった。出口が演じるキャラクターは、全てを自分で引き受けてしまうような強さや不器用さを持ち合わせている。
さて、そんな彼女扮する彩が本作の第4話では姉との過去にどんなふうに向き合い、乗り越えようとするのか。
毎週各話に登場する気象用語が晴原がわかりやすくSNSで解説する「ハルカンのお天気用語解説」で、第3話のキーワードとして紹介されていた「局地風」。第4話でも風の威力や恐ろしさをまざまざと経験した彩が、どうやって災害救助の場に立ち合い、役立とうとするのかに注目したい。
■放送情報
『ブルーモーメント』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:山下智久、出口夏希、水上恒司、岡部大、仁村紗和、夏帆、平岩紙、音尾琢真、田中圭(友情出演)、本田翼、真矢ミキ、舘ひろしほか
原作:小沢かな『BLUE MOMENT』(BRIDGE COMICS/KADOKAWA)
脚本:浜田秀哉
演出:田中亮、森脇智延、下畠優太
制作プロデュース:古郡真也
プロデュース:高田雄貴、栗原彩乃
音楽:佐藤直紀
主題歌:ボン・ジョヴィ「レジェンダリー」(ユニバーサル ミュージック)
挿入歌:山下智久「Perfect Storm (feat. TAEHYUN of TOMORROW X TOGETHER)」
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/blue-moment/
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