伊坂幸太郎『終末のフール』初映像化も 日本の小説が原作の韓国作品が生む“独特の面白さ”
伊坂幸太郎の同名小説を初めて映像化したNetflixシリーズ『終末のフール』が、4月26日より配信される。
小説の主な舞台は宮城県仙台市北部にある団地「ヒルズタウン」。小惑星衝突による地球滅亡が宣言されてから5年後、残り3年の世界を生きる「ヒルズタウン」の住人たちに焦点を当てた物語だ。8章からなる小説は、念願だった子供を産むか悩む夫婦や、両親が自ら命を絶った中で生き続ける女性、滅亡を前にしてもジムに通って鍛え続ける青年など、様々な視点が描かれている。
8年前に滅亡が告げられてからしばらくは、暴動や無差別殺人などが起きてめちゃくちゃになっていた世界。現実に耐え切れずに心中したり、殺人や暴行を興味本位で行ったりなど、安全と言われる日本でもかなりの荒れ具合だった。そこから数年経てば落ち着きを取り戻し、残りの数年をどう生きるかを前向きに考えだすというなんともリアルな人間の心理も描かれている。
Netflixシリーズ『マイネーム:偽りと復讐』のキム・ジンミン監督と、『密会』の脚本家チョン・ソンジュがタッグ組んだ本作では、舞台も韓国になっている。小説では「ヒルズタウン」に残った登場人物それぞれがどう生きていくかという、個人にフォーカスされていたが、予告編からも分かるように、ドラマ版ではより壮大な世界観になりそうだ。
韓国では、『終末のフール』のように実は日本の小説を原作にしている映像作品が多い。
日本の小説が原作の韓国映画として、『ゴールデンスランバー』を思い出す人も多いのではないだろうか。同じく伊坂幸太郎の小説を原作とした本作は、日本でも堺雅人主演で2010年に映画化されている。韓国版では、カン・ドンウォンが主人公を演じ、2018年に映画化された。誰にでも親切な男が、その性格につけこまれ、次期大統領候補暗殺の容疑で追われる身となってしまう物語。108分というコンパクトさながら、だんだんと陰謀が明らかになっていく過程とスピード感に満足すること間違いない。