『少年ジャンプ』実写化作品に旧作が多いのはなぜ? 共通点から膨らむ世界的ヒットの夢

ジャンプ旧作の実写化に共通するポイントは

 アニメとは別に、集英社はジャンプマンガを海外で広めるための施策も行っている。その代表例がグローバルに展開されている『MANGA Plus by SHUEISHA』で、これはジャンプ系列誌の連載を日本と同じタイミングで読めるプラットフォームだ。

 さらに2023年10月からは有料のサブスクサービス『MANGA Plus MAX』が始まり、完結済みの作品まで含めて読み放題となる「Deluxeコース」も開設された。こうした取り組みによって、一層ジャンプ作品が海外からアクセスしやすくなった上、最新の連載作品が注目を浴びる機会が増えたため、実写化をめぐる状況にも大きな影響を及ぼしそうだ。

 ところでここ数年実写化されたマンガには、もう1つ別の共通点もある。それは、ほとんどがバトルものの作品ということ。『週刊少年ジャンプ』にはギャグやラブコメ、スポーツなど、さまざまなジャンルの金字塔が存在するが、なぜかそうした作品はあまり実写化の題材となっていない。

『幽☆遊☆白書』場面写真

 バトルものは誰にでも面白さが伝わるため、グローバル展開に向いているのかもしれないが、ジャンプ作品は本来もっと豊かなポテンシャルを秘めているはず。こうした状況には「もったいない」という感情も湧いてきてしまう。

 とくにスポーツマンガに関しては、まさに“金脈”が眠っている印象だ。世界中にファンがいる『キャプテン翼』や20数年ぶりの新作劇場アニメが大ヒットした『SLAM DUNK』などは、その筆頭ではないだろうか。

 また、20年ほど前にブームを呼んだ囲碁マンガ『ヒカルの碁』も、実は実写化にうってつけの作品ではないかと思われる。題材的に、一見グローバルな展開に向いていないように見えるかもしれないが、2023年にはNetflixで日本の大相撲を描いたドラマ『サンクチュアリ -聖域-』が大ヒットしていた。これはアジアならではのローカルな題材でも、描き方によっては普遍的なエンタメになることの証明だろう。

 最近のヒット作でいえば、ファミリードラマとスパイものを融合したコメディの『SPY×FAMILY』などは、どこの国でも受け入れられそうな設定だ。また2022年12月より『少年ジャンプ+』で連載されている将棋マンガ『バンオウ-盤王-』は、長命のヴァンパイアが現代の最強棋士たちに挑むという斬新なストーリーで、ファンタジーとリアルのバランスが実写化に向いている印象を受ける。

 現実に実写化が進行している作品としては、『僕のヒーローアカデミア』や『NARUTO-ナルト-』のハリウッド映画化が発表されているほか、『DEATH NOTE』の新作ドラマ制作も報じられている。この中からグローバルヒットが生まれれば、さらに新たな企画にもつながり、よりジャンルの幅が広がっていくことも期待できるだろう。ジャンプマンガの新世界は、まだ始まったばかりだ。

■配信情報
Netflix映画『シティハンター』
Netflixにて、4月25日(木)世界独占配信
出演:鈴木亮平、森田望智、安藤政信、華村あすか、水崎綾女、片山萌美、阿見201、杉本哲太、迫田孝也、木村文乃、橋爪功
原作:北条司『シティーハンター』
監督:佐藤祐市
脚本:三嶋龍朗
エンディングテーマ:TM NETWORK「Get Wild Continual」(Sony Music Labels Inc.)
エグゼクティブ・プロデューサー:高橋信一(Netflix)
プロデューサー:三瓶慶介、押田興将
製作:Netflix
制作:ホリプロ
制作協力:オフィス・シロウズ
原作協力:コアミックス
©北条司/コアミックス 1985

Netflixシリーズ『幽☆遊☆白書』
Netflixにて配信中
出演:北村匠海、志尊淳、本郷奏多、上杉柊平、白石聖、古川琴音、見上愛、清水尋也、町田啓太、梶芽衣子、滝藤賢一、稲垣吾郎、綾野剛
原作:冨樫義博『幽☆遊☆白書』(ジャンプ・コミックス刊)
監督:月川翔
脚本:三嶋龍朗
VFXスーパーバイザー:坂口亮(Scanline VFX)
エグゼクティブ・プロデューサー:坂本和隆
プロデューサー:森井輝
制作プロダクション:ROBOT
企画・製作:Netflix

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