『マルス』道枝駿佑は何を訴えかける? 『3年A組』脚本家・武藤将吾が学園ドラマに帰還

『マルス-ゼロの革命-』は何を訴えかける?

 放送前から注目を集めている1月期のテレビ朝日の連続ドラマ『マルス-ゼロの革命-』(以下、『マルス』)。主演の道枝駿佑が初の金髪姿を披露し、カリスマダークヒーロー役に抜擢された上、脚本を務めるのは5年前の放送時から圧倒的なインパクトとともに視聴者の記憶に刻まれている『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系/以下『3年A組』)の武藤将吾で完全オリジナル作品とくれば、期待が高まるのも頷ける。

 『3年A組』は高校を舞台に、菅田将暉演じる担任教師・柊一颯がクラスの生徒全員を人質にとり立てこもるという衝撃の展開から幕を開ける。そして、クラスの人気者・景山澪奈(上白石萌歌)の自殺の真相を生徒全員に問いただす柊による命がけの“最後の授業”が繰り広げられる。次々に明かされる謎の真相、そして予測不能な展開で視聴者を終始魅了し続けた。

 柊は、いじめやSNSに蔓延る匿名の無責任な悪意が1人の人間を死に追い込む鋭い凶器になることを全身全霊で訴えたが、このメッセージはどうやら『マルス』にまつわるキーワードにも通ずるものがありそうだ。

 同じく高校を舞台に“いじめ”に遭い、唯一の心の拠り所だった“SNS”でも居場所を失ってしまってしまい命を絶とうとする逢沢渾一(板垣李光人)の前に現れるのが、19歳の謎の転校生“ゼロ”こと美島零(道枝駿佑)。「俺がお前をこの腐った世界から救ってやる」、「俺と一緒にこの世界をぶっ壊そう」というゼロの台詞はどこか柊を思い起こさせる。そんなゼロが渾一はじめ落ちこぼれの7人の高校生を集め動画集団「マルス」を結成し、大人社会に反旗を翻していくようだ。

 『3年A組』の柊が教え子たちを皮切りに最終的には年齢かかわらずSNSユーザー全員にメスを入れたのに対し、本作では高校生らが腐敗した大人社会に斬り込む逆転劇が観られるようだ。柊の口癖が「レッツ・シンク!」だったのに対し、予告編を見る限りゼロの場合には「イッツ・ショータイム!」がそれに該当しそうだ。

 道枝演じるカリスマ性溢れる過激でエキセントリックなゼロはもちろんのこと、彼によって集結させられ変化を促される「マルス」のメンバーにもたらされる影響や成長も見ものだろう。

 『3年A組』では生徒役を演じた29人の中から、ヒロイン役の永野芽郁を筆頭に、上白石萌歌に川栄李奈、福原遥、今田美桜、富田望生、森七菜、堀田真由、神尾楓珠、萩原利久、望月歩など、どんどん新しい才能が花開き羽ばたいた。そんな『3年A組』の生徒役でもあり本作でも「マルス」のメンバーを務める横田真悠は、イマドキ女子を演じることが多い印象だ。『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS・TBS/以下『明日カノ』)では、いつも人に囲まれている人気者だが寂しさをパパ活や男性で埋めようとする女子大生・リナ役を演じていた。『明日カノ』で主人公を務めた吉川愛も本作では「マルス」の一員として登場し、ここでも大人びたキャラクターを演じるようだ。

 特に注目したいのは、宮﨑駿脚本・監督作『君たちはどう生きるか』で主人公の声優を務め、大きな注目を集めた山時聡真だ。本作では斜に構えた毒舌家として「マルス」内の頭脳担当を担うようで、同じく学園ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)で演じた生徒役とは正反対のキャラクターが見られそうだ。

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