『Sweet Home』は本当の人間らしさを描き続ける シーズン2の魅力は様々な怪物たち?

『Sweet Home』は本当の人間らしさを描き続ける

様々な怪物の登場

 ウイルスが形を変えていくように、単に怪物と言っても様々な種類がいる。無作為に人間を襲う怪物だけでなく、攻撃性はなく優しい心を持った怪物や、怪物になる症状が出始めても人間の姿を留めたままの特殊感染者など。隔離生活の中で症状が出てしまったヒョンスは、シーズン1でグリーンホームを襲撃してきた人間たちの中にいたウィミョンと同じく、自分が特殊感染者であることに気が付く。そんな特殊感染者や怪物と人間は共存できるのか、それとも対立するのか。そもそも、怪物は本当に人間だった頃を忘れてしまったのか。イギョンが産んだ、人を怪物化させる能力を持つ謎多き娘など、シーズン3への鍵となるストーリーがシーズン2には散らばっている。

 観れば観るほど深みにはまっていくストーリー性ではあるが、「血だらけでグロいし、怖いな」と思っている人はぜひ怪物たちそのものに注目してみてほしい。先ほど述べたような様々な種類の怪物たちの中には、ブランドものに執着している怪物や、生まれたばかりの赤ちゃん姿の可愛い怪物、花嫁姿の怪物、またシーズン1でグリーンホームの住人を苦しめた“目が見えない怪物”と“目だけの怪物”も再度登場する。怖い怪物のはずなのに、人間の奥底にある欲望が垣間見える怪物たちに、同じ欲望を持つ人間だからなのか不覚にも面白味を感じてしまう。

 そして、やはり明らかになっていくのは人間の本質だろう。自分だけが助かりたいという思いだけで後先考えない人、この世界のためになることは何なのかと考えて行動する人。自分がこの状況に置かれたら「怪物になってしまいたい」と思いそうだな、なんて考えさせられる。グリーンホームの住人はそれぞれが苦しくなるような過去や事情を抱えていたが、それは彼らだけでなく、人間誰もが抱えているものだと言える。それでも彼らは生きることを選んだ。

 また、生きることに必死になるしかない世の中でも愛は芽生えていく、ということも教えてくれる。恋愛のような感情だけでなく、家族“のような”関係や、老若男女問わない特別な友情。どんなに世界が終わりかけようと、本当の人間らしさを持ち続ける、これからの『Sweet Home』の世界に希望を持って次のエピソードを待ちたいと思う。

■配信情報
Netflixオリジナルシリーズ『Sweet Home -俺と世界の絶望-』
Netflixにて、シーズン1、シーズン2配信中

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