グロさ満点なのになぜ人気? 一気観必至の韓国産ホラー『Sweet Home』の魅力は構成にあり

グロさ満点なのになぜ人気? 一気観必至の韓国産ホラー『Sweet Home』の魅力は構成にあり

 昨年、Netflixで最も視聴された作品は『愛の不時着』だった。それだけでなく、『梨泰院クラス』も社会現象になるほどの人気を博し、それに続いて現在は『スタートアップ:夢の扉』が国内総合TOP10入りをキープしている。『愛の不時着』が起爆剤となり、今や総合順位に常に韓国ドラマがランクインしているほどの韓流ブームの再来。実はもう1作品、12月5日から配信開始され、ずっとTOP10入りしている作品がある。『Sweet Home ー俺と世界の絶望ー』だ。

人を選ぶはずの内容なのに国内作品TOP10に常にランクイン なぜ?

 従来の韓国ドラマのイメージは、“ロマンス”だった。恐らく第一次韓国ブームを巻き起こした『冬のソナタ』や、今のブームを率いた『愛の不時着』も、日本でヒットする作品はロマンスジャンルのものが目立ち、それゆえに恋愛モノに興味のない層は少し距離を置いていた。もちろん、以前から韓国ドラマは恋愛だけに限らず様々なジャンルのものが製作されてきている。しかし近年になって、特にNetflixをはじめとするサービスに配信され始めてからは、より多くの作品がより多くの人の目に止まるようになり、韓国ドラマの敷居が低くなった。そこにビジネス要素の高い内容となっている『梨泰院クラス』と『スタートアップ:夢の扉』が、よりロマンス以外の作品を求めていた層に合致し、韓国ドラマ全体がより広い層の支持を得ているような気がする。

『Sweet Home -俺と世界の絶望-』予告編 – Netflix

 しかし、その流れでも異色なのが『Sweet Home ー俺と世界の絶望ー』。なにせこのドラマは、ホラー作品。グロテスクな描写も強く、血がこれでもかというくらい巻き散らかされる。ホラーというだけでも人を選ぶジャンルなのに、なぜここまで高い人気を維持できているのか。それは先述のように、多くの視聴者が完成度の高い韓国ドラマに触れたことで、ジャンルを問わず韓国作品に一種の信頼感を抱いているからではないだろうか。そして『Sweet Home』は、そんな風に信じて観始めた視聴者の期待を、グロ描写なんかお構いなく裏切らない面白さだ。

飽きさせないスリリングな展開と、良作ドラマに共通する特徴

 本作は主人公のチャ・ヒョンス(ソン・ガン)が、寂れた古いアパート「グリーンホーム」に引っ越してくるところから始まる。彼は交通事故で家族を全員亡くしており、それ以前から学校で受けるいじめが原因で不登校だった。自殺願望が強く、引っ越してからすぐに死のうとするも、屋上でマンションの住民に止められる。そんな鬱々とした新生活が始まったかと思いきや、突如マンションの管理人が謎の病にかかり“人間ではなくなる”。ヒョンスのお隣さんも怪物化して、マンションが騒ぎに。外はすでに怪物化した人々で溢れているという地獄絵図が広がっている。住民たちは安全確保のためにシャッターを閉め、籠城作戦に出ながらどうやってこの状況を生き延びようか、不安に怯えながらも必死に考える。

 というのが本作の大まかなあらすじだが、この時点ですでにめちゃくちゃ暗い! 特に主人公が山崎賢人似でイケメンだけど、非常に暗い! そして第1話から容赦なく人が死んでいく! 完全に人を選ぶはずの作品だ。しかし、1話を乗り越えればあとはノンストップで一気観してしまう理由は脚本力にある。話の運び方がうまいし、何より初っ端から人が死ぬということは、今後誰が死んでもおかしくないという状況。そういったスリリングなストーリー性が一気観してしまう大きな要因だ。

 これは本シリーズに限らず、多くの韓国ドラマに共通して言えることだが、話の展開が早い。第1話の時点で舞台設定(グリーンホームの様子)、登場人物の紹介、そして要となるモンスターの登場までさせてしまっているのはすごい。大体こういう作品は怪物のお披露目を後の方にとっておいて、先に人間ドラマを描きがちになる。しかし、『Sweet Home』はその真逆。モンスターとの戦闘をもったいぶることなく先に見せたうえで、人間ドラマに取りかかっているので視覚的に退屈にならない。そういう工夫がされていながらも、第1話でしっかりとマンションに住む住民それぞれを、コンパクトではあるが、そのひととなりがすぐにわかるように紹介している。

 このキャラ紹介にもよく現れているが、本シリーズは“視覚で情報が完結している”。これは良作のドラマに共通する特徴かもしれない。というのも、ドラマは説明がくどすぎると逆に物語に入りづらくなることがある。その設定をドラマ側が言語化し、改めて登場人物らがセリフの中で説明したりすると「改めて言わなくてもわかるよ」と、くどさを感じてしまうのだ。「行間を読む」ことの面白さ、自分なりにシーンごとのキャラクターの心情を考えながら観進めていくことが、ドラマの楽しみ方の一つだと思うのだが、本作はそういうくどさが一切なく、視覚に人物背景や状況説明などが完結しているのがいいし、だからこそ目が離せなくなる。

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