『パリピ孔明』を成立させた向井理、上白石萌歌、森山未來の存在 続編の可能性にも期待!

『パリピ孔明』を本格たらしめた向井理たち

 私たちの気持ちを高めてくれたり、悲しい気分に寄り添ってくれたり、緊張やストレスをほぐしてくれたり。生きる希望を与えてくれることも、他者との様々な垣根を取っ払ってくれることもある。11月29日に最終回を迎えた『パリピ孔明』(フジテレビ系)は、そんな“音楽”を愛する人たちによる、“音楽”を愛する人たちのためのドラマだった。

 現代に転生した軍師・諸葛亮孔明(向井理)の音楽による天下泰平の計も総仕上げ。ついに、英子(上白石萌歌)が憧れてやまないサマーソニアのステージに立つ日がやってきた。当日は孔明が東南の風を吹かすべく祈祷を捧げる中、英子は小林(森山未來)と共に会場へ向かう。しかし、道中には最大のライバル・前園ケイジ(関口メンディー)があらかじめ仕掛けた様々なトラップが。英子のピンチを救ったのは、彼女の歌に心動かされた人たちだった。

 マリア・ディーゼル(アヴちゃん)の歌に生きる気力をもらい、自身も歌手を志した英子。一握りの人だけが生き残れる厳しい音楽の世界で埋もれてしまっていたダイヤの原石に気づいた孔明は、兵法を駆使して彼女をプロの道へと導いてきた。

 これまで本当にいろんなことがあった。人気シンガーのミア(菅原小春)に危うく当て馬にされそうになったところを孔明が客を呼び込む戦術で英子のライブを成功させたり。そんなことはつゆ知らず、英子はミアといつしか師弟関係となり、英子が体調不良で音楽番組に出演できなくなった時は代わりにミアがオリジナルソング「DREAMER」を歌った。それがきっかけで新境地を開いたミアは足止めを食らう英子のもとにバイクで駆けつけ、会場まで送り届けてくれる。不器用ながらも「楽しんで」と英子を送り出すミアの笑顔に思わず胸が熱くなった。

 MCバトル選手権3連覇という重すぎる称号に耐えきれず、表舞台から消えたKABE太人(宮世琉弥)を仲間に加えるべく、彼にMCバトルで負けた赤兎馬カンフー(ELLY)の協力を得たことも。赤兎馬の「いつまでも穴掘ってんじゃねぇよ」という口癖は、行動も起こさずうじうじしていたKABE太人や英子の背中を少なからず押した。そんな赤兎馬が、前園陣営に金で雇われ、英子を会場から遠ざけようとしたロケバスの運転手を穴に落とすという痛快な展開に。彼が協力してくれたのは、KABE太人をラップ界に引き戻してくれた孔明へのお礼でもあるだろう。負けは負けと認め、しかし決して勝ち逃げを許さないカッコいい男だ。

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