『パリピ孔明』向井理だから際立つ“孔明感” アニメ版との対比で見える制作陣の気概

『パリピ孔明』アニメ版との対比で見える気概

 毎週水曜22時よりフジテレビ系で放送中の連続ドラマ『パリピ孔明』。向井理が孔明役を演じ、またシンガーになる夢を追う英子役には上白石萌歌が起用され、彼らの演技が“ハマり役”として高い評価を得ている。

 『パリピ孔明』は2022年の春にアニメ化もされており、アニメとドラマの違いを楽しむことができる。第3話までの内容を比較してみると、すでにいくつかの違いが見受けられた。

 まず、キャラクターの軸はそのままに、アニメとドラマでメインとなる英子と孔明のキャラクター性に微妙な違いが感じられる。アニメならではの“なんでもあり”感で画に馴染んでいた孔明は、実写版ではその異質さが良い意味で際立っている。煌びやかで重そうなコスチュームをリアルな映像としてみると、彼がさまざまなところで「孔明のコスプレをした人」だと思われているのも納得できる。湯気のような煙が出る帽子をはじめ、思わず「これどうなってるの?」とツッコミたくなってしまうコミカルな要素が、より浮き立って見えるのだ。

パリピ孔明

 アニメに続いて、ドラマでも、孔明の作戦はBBラウンジのオーナーである小林(森山未來)との会話を通じて上手く説明されている。小林が孔明に「石兵八陣」についての考えを尋ねる場面は原作にも存在するが、その際に引き出しの箱庭に石を配置し、石兵八陣を表現するシーンはドラマ独自の演出だ。小林の“三国志愛”がより伝わってきた。さらに、KABE太人(宮世琉弥)を仲間に引き入れるための、兵法三十六計「調虎離山」の描写もドラマオリジナル。アニメでは見られなかった、孔明の作戦のレパートリーをまだまだ見たいところだ。

 孔明だけでなく、英子の雰囲気にもアニメとは少し変化が。上白石の元々のビジュアルと相まって、少しナチュラルな大人の雰囲気が漂う。

 また、ドラマ第3話で英子が歌った未完成の楽曲「DREAMER」も、アニメ版との比較で注目すべき点がある。タイトルは同名だが、ドラマ版で流れる「DREAMER」は、幾田りら書き下ろしでアニメ版と異なる楽曲となっている。

 アニメ版「DREAMER」では、実力派歌手でありながら歌い手としても活躍する96猫が歌唱を担当し、のびのびとした強さが際立つ。一方で、ドラマ版で流れる「DREAMER」は、上白石の透明感のある声に合うような印象を与え、2人の“英子”の歌声を楽しむことができる。

EIKO [ DREAMER ] from フジテレビ系水10ドラマ「パリピ孔明」(作詞作曲:幾田りら)

 さらに、アニメ版ではエンドクレジットに合わせて英子の歌唱音源が流れる演出に対し、ドラマでは英子本人がその場で歌うという点での違いも。ドラマの第3話に相当するアニメの第4話は、特殊なエンディングで飾られた“神回”として知られているが、ドラマではアニメと変わらない熱量で英子のアカペラが楽しめる回となっていた。

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