『下剋上球児』“日本一の下剋上”が始まる 鈴木亮平がふたたび立ち上がる魂を体現

『下剋上球児』鈴木亮平がふたたび立ち上がる

 目標を設定するのは怖い。高すぎる理想は壁になって重くのしかかる。現実に甘んじるか、それとも一歩を踏み出すか。その差は紙一重だ。『下剋上球児』(TBS系)第7話で、越山高校野球部は甲子園出場を目指して戦いを開始した。

 2017年夏。初戦を突破した越山ナインは、2回戦で伊賀商業と対戦。シードで春の優勝校である伊賀商業を相手にリードするも、7回に審判のきわどい判定がボールとなって、フォアボールで押し出しの得点を与える。さらに楡(生田俊平)がフライを見失っている間に追加点を奪われた。相手チームの代打に勝負に行ったエース犬塚翔(中沢元紀)は、ストレートを捉えられホームランにされて8対3。そのままゲームセットとなった。

 越山高校野球部が得たものは、12年ぶり悲願の初戦突破。そして待ち望んだ監督の復帰だった。グラウンドに帰ってきた南雲(鈴木亮平)を部員たちが迎える。南雲を呼び戻すために彼らは一致団結し、自分たちの手で「夏に一勝」を実現した。快挙を達成したはずなのにテンションが低い部員たちに、そのわけを聞くと、勝てる試合を落とした悔しさがまさっていて、勝負にこだわる空気にこの1年の成長が見て取れる。敗退については、生徒たちより山住(黒木華)の方が重傷で、南雲と会ってようやく人前に出る元気が出るなど、初めての経験を誰もが新鮮な気持ちで受け止めていた。

 気がかりだったのは4番の楡。自身のミスで敗戦を招いたことを気にしているのか、チームに顔を出さなくなった。楡が退学すると聞いた南雲はバイト先を訪ねる。楡が来なくなったのは、てっきり試合でのプレーを気にしていると思っていたのが、実は成績が悪くて留年しそうになっており、守備のミスも視力が悪いためだった。「“メガネ君”言われる」という理由で眼鏡着用を拒んでいた楡に、南雲はコンタクト着用を勧める。コンタクトレンズを着けた楡は、バックホームでランナーを刺すなど見違えるように守備力が改善した。

 監督自らマイクロバスを運転して遠征に行ったことや、チームの主軸打者が視力が悪いのを隠してプレーしていたことは、本作の原案となった三重県立白山高校野球部で実際にあったエピソードである。甲子園を目指せる実力を付けた球児たちがメガネの見た目を気にしたり、女子生徒の応援に舞い上がったりする姿は青春そのもので、何かあるとこじらせてすぐ引っ込むところなど野球以外ではごく普通の高校生だ。そんな彼らにとって「甲子園」は手が届かない大それた目標だった。それがなぜ甲子園を目指すことになったのか?

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる