『パリピ孔明』森山未來×アヴちゃんの壮大な「今日も生きてる」 ギターが繋ぐ過去と未来

『パリピ孔明』森山未來×アヴちゃんが圧巻

 2022年は、森山未來主演の映画『モテキ』でアヴちゃん率いるバンド・女王蜂が主題歌を担当して以来、10年ぶりに劇場アニメーション『犬王』で共演を果たし、室町時代に人々を熱狂させた能楽師・犬王をアヴちゃん、そのバディの琵琶法師・友魚を森山が演じた。その際も信頼で結ばれた彼らしか出せない空気感がスクリーンに漂っていたが、今回も骨太な芝居をともに構築した2人。その結果生まれた、コメディとは思えぬ映画さながらの壮大な小林とマリアの過去編に思わず引き込まれた。

 それだけでも1話まるごと持ちそうなものを、贅沢にも今回は英子の過去も同時に盛り込まれる。家族を捨てて音楽を選んだ父親のせいで、母親(安藤裕子)から歌手になることを反対され、ギターだけを持って家を出た英子。だが、心のどこかではずっと会っていない母親のことが気がかりだった。そんな英子は久しぶりにあざらしのたまちゃんと孔明に聞き、気分転換に訪れた多摩川でたまたま赤兎馬カンフー(ELLY)と再会。彼の「穴掘ってんだ?」という口癖で英子は保育園児の頃に埋めたタイムカプセルの存在を思い出し、地元の京都までそれを掘り起こしにいく。そこから出てきたのは、「大きくなったら歌手になる!」という幼い英子の宣言と、それを応援する母親の声が録音されたカセットテープだった。

パリピ孔明

 父親のこともあり、母親は英子の夢を純粋な気持ちで応援することができなくなったのかもしれない。自分の元から唯一の宝物である英子が去っていくのは耐えられなかったのだろう。けれど、英子の夢を応援してくれていた頃の気持ちが嘘だったわけではない。同じように、小林がマリアの横でギターを弾いていた頃の弾むような楽しさは見失っているだけでいつでも取り戻せるものだった。

〈あの頃は宝物だったのに今じゃもう違くて/自分で曇らせてごめんね〉
〈もう過去も未来も繋がってダメだったって良い事になる〉

 英子と小林の歩んできた道のりが繋がり、新曲「Time Capsule」が完成する鮮やかな構成が見事だった第8話。もちろん、英子の隣で小林がギターを弾くところまで全て、今回もまた孔明の策略の範疇だ。作詞作曲を内澤崇仁(androp)、編曲をandropが担当した楽曲も爽やかで心地の良いメロディでますます英子のサマーソニア出場が楽しみになる。だが、あの日、自分との約束をすっぽかしたマリアがBBラウンジに訪れていたと知った前園の魔の手が再び忍び寄ろうとしていた。

■放送情報
『パリピ孔明』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:向井理、上白石萌歌、菅原小春、宮世琉弥、八木莉可子、森崎ウィン、関口メンディー、アヴちゃん(女王蜂)、ELLY、ディーン・フジオカ、森山未來ほか
原作:『パリピ孔明』四葉夕ト(原作)、小川亮(漫画)(講談社『ヤングマガジン』連載)
脚本:根本ノンジ
企画:髙木由佳(フジテレビ)
プロデューサー:八尾香澄
演出:渋江修平ほか
音楽:近谷直之
制作協力:C&Iエンタテインメント
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/paripikoumei/
公式X(旧Twitter):@paripikoumei_cx
公式Instagram:@paripikoumei_cx
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@paripikoumei_cx

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる