『パリピ孔明』に学ぶ“マネジメント論” 菅原小春演じるミアが歌う「DREAMER」の力強さ

『パリピ孔明』に学ぶ“マネジメント論”

 例年よりも遅れて秋がやってきて、ようやく涼しくなってきたこの頃。コンビニに寄るとつい食べたくなるのが“肉まん”だが、その起源となった肉饅頭を考案したのが諸葛亮孔明だったと言われている。南蛮征伐の帰り、川の氾濫で足止めをくらった孔明。その場所では川の祟り神を鎮めるために人の生首を捧げる風習があった。しかし、孔明は兵士たちを生贄にはせず、代わりに生首に似せた饅頭を捧げたところ、見事に川が静まったという。

 そんな仲間を大事にする孔明らしいエピソードが登場した『パリピ孔明』(フジテレビ系)第7話。AZALEAとのバトルで話題となった英子(上白石萌歌)に忍び寄る影を孔明(向井理)が意外な方法で払った。

パリピ孔明

 SNS10万いいねを達成し、 超大型音楽フェス「サマーソニア」の出場権を手に入れた英子。当日は「DREAMER」の他に新曲をもう一曲披露することに。その制作でただでさえ追い詰められる英子のもとに舞い込むのが、生放送の音楽特番出演の依頼だ。プロデューサーの高井戸(竹財輝之助)は話題性のためというが、無名の英子を出演させるのはあまりにも冒険であり、孔明は怪しむ。そこで高井戸に英子のノーギャラ出演を餌にボーリング対決を持ちかけ、相手が対決に夢中になっているうちに番組の構成台本を盗んだところ、甘い誘いの裏が見えてきた。

 それは英子を三大レーベルのうちの一つ「V-EX」に移籍させ、飼い殺しにした上で芽を潰そうというもの。音楽特番出演はその場で移籍を発表して既成事実を作り、英子を逃げれない状況に追い込むためだった。そんな中、曲作りで悩んでいた英子が過労と精神的ストレスで倒れる。その際、救急車を呼んでくれたのがミア(菅原小春)だ。

パリピ孔明

 第1話では英子を当て馬に使おうとしていたが、変わらず自分を慕ってくる英子をなんだかんだ言いながらも後輩として面倒を見ていたミア。今回も英子から曲作りの相談をされていたが、ミア自身もレコード会社の社長・山野(七海ひろき)と揉め、解雇されるという窮地に追い込まれていた。その原因はミアのサボり癖とわがままであり、自業自得な面もある。だが、そもそもミアが音楽に本気になれないのは、バラード曲を山野が歌わせてくれないためだった。

 そんなミアを、孔明はしばらく入院療養が必要となる英子の代わりに例の音楽特番で「DREAMER」を歌わせる。英子を守りながらも彼女が作った歌を広めることが第一の目的ではあるが、もう一つはミアがダンスチューンだけではなくバラードでも力を発揮できることを世間に知らしめるため。実際、ミアが歌った「DREAMER」は英子が歌う同曲とはまた違う魅力がある。そのハスキーでエッジの効いた歌声には、胸にズシンと響く力強さがあった。また、同時に感じるのは「DREAMER」という曲が英子のみならず音楽を愛する人の普遍的な思いを歌ったものであるということ。AZALEAのボーカル・七海(八木莉可子)もそうだったが、音楽で食べていく現実の厳しさを知っている人全てに勇気を与えてくれる楽曲だ。

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