『ゼイチョー 』菊池風磨らが見せた公務員としての矜持 松田元太の内から込み上げる悔しさ
本来は親と子どもを守るためのはずの制度に振り回され、悔しい思いをし不自由を強いられてしまっている家族の実態に胸が詰まる。みゆきの市を「子育ての街」としてPRしようとするがあまり、おかしな制度を導入し、見せかけの“待機児童”数を減少させる。しかし、その裏では親が育休延長や退職に追い込まれた結果、待機児童にはカウントされない“隠れ待機児童”数が増えているという本末転倒な事態が起きている。“誰のための何のための行政”なのか完全に見失ってしまっていて、その犠牲になる家族の実情がありありと描かれる。
一方で、せっかく徴税した税金を本当に支援を求めている人たちに届けるために奔走する徴税吏員・饗庭(菊池風磨)や、その後輩・増野(松田元太)、百目鬼(山田杏奈)らの公務員としての矜持も発揮された。誰の助けも借りないと頑なだった木下の心のバリアを解いたのは、増野の一生懸命で真摯でちょっぴりお節介な継続的な寄り添いだった。映画初出演にして初主演を務めた『君が落とした青空』では高校生の彼氏役を好演していた松田元太が、本作では保育課への配属を希望していたものの、納税課職員となり最初はやりがいを見出せていなかった新人役を熱演し、自分なりにその存在意義ややりがいに目覚めていくまでの成長過程を見せてくれた。保育課課長に「誰のために仕事をしているのか」と涙ながらに訴える増野の、内から込み上げる悔しさがひしひしと伝わってきて引き込まれた。
副市長・相楽義実(本郷奏多)の「徴税強化体制」も全く個々の事情を汲まない画一的な施策に思えるが、彼の思惑はどこにあるのだろうか。財務省時代の元同期・奥林礼二(結木滉星)が屋上から飛び降りる直前まで一緒にいたのが相良のようだが、一体そこでどんなやり取りが交わされたのかについては、まだ謎に包まれたままだ。
■放送情報
『ゼイチョー 〜「払えない」にはワケがある〜』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜22:54放送
出演:菊池風磨(Sexy Zone)、山田杏奈、本郷奏多、石田ひかり、石野真子、結木滉星、市川由衣
原作:慎結『ゼイチョー!〜納税課第三収納係〜』(『BE・LOVE』講談社)
脚本:三浦駿斗
演出:河合勇人、鯨岡弘識ほか
音楽:井筒昭雄、chakia
監修:野村修也
税務指導:堀博晴
チーフプロデューサー:松本京子
プロデューサー:大倉寛子、岩崎秀紀、金澤麻樹
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
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