『ゼイチョー 』菊池風磨らが見せた公務員としての矜持 松田元太の内から込み上げる悔しさ

『ゼイチョー 』公務員としての矜持

「こんなはずじゃなかった。これ以上どうしたらいいんだ……」

 『ゼイチョー 〜「払えない」にはワケがある〜』(日本テレビ系)第3話では、シングルファーザー・木下裕介(小関裕太)を通して、ひとり親を取り巻く環境や子育て世帯の苦悩が描かれた。

 1年前に妻と死別し、3歳と2歳の子どもを男手一つで育てる契約社員のSE・木下は、仕事と育児の両立にいっぱいいっぱいで、保育士からも「笑ってるところを見たことがない」と心配の声が挙がっている。保育課の職員も「男性の一人親は他人に弱みを見せたがらない人が多い」と話していた通り、木下も自己申告制の市のひとり親支援制度を一切受けていない。どうやら木下が頑なに行政にも周囲にも頼ろうとしないのは、亡くなる前に妻と交わした「自分ひとりでやり切る」という約束を愚直に守ろうとしているからのようだ。

 さらに、子どもが通う保育園に、木下よりも年下ながらも、SNSで“理想のシングルファーザー”として話題の、仕事も育児も完璧にこなす瀬戸知宏(見津賢)がおり、彼と自分を比較しては“こんなことで音を上げている場合ではない”と、その存在が良い刺激になっているというよりは、自分にも同水準を課してしまうプレッシャーになってしまっている。

 そんな中で、周囲から手伝いの申し出や声かけがあればあるほどに、「自分がちゃんとできていないからだ」と追い詰められさらに自分を責める。周りにはそんなつもりが一切なくとも“ダメ親”の烙印を押されているように思えてしまい、差し伸べられる救いの手を素直に掴むことができず、むしろ跳ね除けてしまう。“心配されないようにもっと自分が頑張らなければ”“自分で決めたことなんだから弱音なんてこぼしてはいけない”と全てが逆効果に作用し、孤立を深めていく。

 さらに今話で描かれたのは、“理想のシングルファーザー”瀬戸が、元妻・出渕恵美(大西礼芳)と「偽装離婚」をせざるを得なかった制度の不備だ。2人目が生まれた親が育児休暇取得をすると、家で保育ができるとみなされ上の子が退園させられるというあまりに酷すぎる“育休退園”に遭遇した出渕は、やむなく退職することになってしまったのだ。そこで思いついたのが、子どもたちを入園させるために書面上は離婚したことにし、入園審査の点数制度に有利になるようにひとり親になって点数を稼いだのだと言う。

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