坂東龍汰×Kis-My-Ft2 宮田俊哉が明かす、人生における大事な存在 「力を感じました」

坂東龍汰×宮田俊哉が語る、人生を変えた存在

 髙森美由紀の小説『ジャパン・ディグニティ』(産業編集センター刊)を堀田真由主演で映画化した『バカ塗りの娘』が9月1日に公開された。本作は、青森の伝統工芸・津軽塗=通称“バカ塗り”をテーマに、堀田演じる自分に自信が持てない主人公・美也子が、幼い頃から触れていた津軽塗に改めて向き合い、次第に自分の進む道を見つけていく物語。

 堀田演じる美也子の兄・青木ユウを演じたのは、‍ドラマ『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)、映画『春に散る』など数々の映画やドラマに出演している坂東龍汰。美也子が淡い想いを寄せる花屋の青年・鈴木尚人を、Kis-My-Ft2のメンバーで、俳優や声優としても活躍の場を広げる宮田俊哉が演じた。そんな坂東と宮田の2人にインタビューを行い、本作の見どころや、仕事のモチベーションを維持する方法、そして、人生に影響を与えてくれた存在について、語ってもらった。

坂東「本当の家族みたいなテンションでした」   

ーー坂東さんと宮田さんは今回が初共演だったそうですね。お互いの印象はいかがでしたか?

宮田俊哉(以下、宮田):僕は、根っから明るい人なんだなっていうのをすごく感じました。裏でもずっと「みんなでコミュニケーション取ろう!」って言ってやってくれて、本当に太陽みたいな男だなと。

坂東龍汰(以下、坂東):嬉しいです。宮田さんは、想像していたとおりのおおらかさと、雰囲気の柔らかさで、みんなに対して丁寧で、お茶目なところもあって。さっき堀田(真由)さんとも話してたんですけど、ずっと現場でりんごを食べてるっていう。すごい華奢で細いし、草食動物なのかと(笑)。

宮田:もう美味しくて(笑)。

ーー映画の舞台となっている青森のりんごですか?

坂東:朝採ってきたりんごが毎日現場に並んでるんですよ。

ーー無理に距離を縮めなくてもいい自然な関係だったんですね。

宮田:人が少なかったっていうのもあるのかな?

坂東:確かに。撮影していた家の向こう側に支度場みたいなところがあって、その2階で入れ替わり立ち替わり待機していたんですけど、「撮影行ってきまーす」「おかえりー」みたいな感じで、撮影中と待っている時間が本当の家族みたいなテンションでした。だから、無理して話したりとかもないし、お芝居のことで密に話し合うこともせず、自然と入っていけた感じはしますね。

宮田:あと、我々2人は、他の皆さんと比べて方言がなかったから、気が楽だったというのはありますね。

坂東:それは間違いないです。

ーーお互いの演技についてはどのような印象を持ちましたか?

宮田:僕は、普段はアイドルなので、お芝居の仕事をするのが1年に1、2回くらいで。だから、それを専門にやっている俳優さんってやっぱりすごいなって。堀田さんも、小林(薫)さんも、坂東くんも、みんなすごいなと思って、ドキドキしていました。

坂東:多分初めて会ったのが、家族で集まって……。

宮田:そうそうそう!

坂東:家族で集まるシーンが初めてで、「今日めっちゃ緊張するんだよね」って(笑)。でも、僕も家族で集まるのがその日初めてだったので、緊張していたんですけど、いざお芝居が始まったら、宮田さんが普段のテンションそのままで。落ち着いた感じとかも、僕が本を読んだときに想像していた尚人像とリンクする部分があるなと、横で見て感じていました。

ーーお二人は特別な関係性を演じていましたが、演技に関して相談することはありましたか?

宮田:一箇所、「手を繋いで行こう」みたいな(笑)。

坂東:あったあった(笑)。

宮田:で、手を繋いで行ったら、監督にダメって言われて。

坂東:初めて2人で話し合って、「ここ、手を繋いで行こう」と3回くらいやったんですよ。本番まで何も言われなくて。「じゃあオッケーなんだ」と2人でなっていたんですけど、「本番行きます、手は大丈夫です」って言われて、チーンみたいな(笑)。

一同:(笑)。

ーー演じている役のお気持ちで、相手のどこに惹かれていたと思いますか?

坂東:優しさだったり、落ち着きだったり、ユウに持っていないものを尚人はたくさん持っていて、逆に尚人に持っていないものをユウがいっぱい持っているということを、演じているときに感じていました。この2人には役割があるなって。

宮田:確かに。多分、僕の中の気持ちとして、きっと尚人って一回も髪を染めたことがないんだろうなっていう。だから、髪の毛が派手なユウに対して、きっと見た目からの憧れも強かったのかなと思いました。

ーー劇中で印象に残っているセリフはありますか?

坂東:「続けること、続けること」ですかね。あのセリフはやっぱりどうしても頭から離れないというか、自分に言われているような感覚があって。仕事を辞めずに続けることもそうだし、30年、40年と一緒のことを続けている人の言葉だからこそ、スッと入ってくる。ずっと続けてきた人の言葉というのはすごく染みました。

宮田:僕もセリフで言うとそれなんですけど、冒頭の美也子が自転車を漕いでいるシーンが印象に残っていて。

坂東:あぁ、分かる!

宮田:あのシーンから始まることによって、観ている自分もまるで青森にいるような、映画の世界に入った感覚になるんですよね。すごくいいシーンだなと思います。

ーー映画のテーマにちなんで、“バカ塗り”のようにひたむきにものづくりをする瞬間はありますか?

宮田:お芝居ではないんですけど、去年、ボカロで曲を作って、名前を隠して投稿したことがあったんですよ。

坂東:えー!

宮田:それがそういう作業に近かったですね。編曲のときに、「こうしたい」「ああしたい」というのがどんどん出てきて。「これを動かすとバランスが崩れるな……」とか、やっていたときは大変だったけど楽しかったですね。

ーー役者のお仕事における役作りもひたむきな作業のように思います。

坂東:僕の中で、お芝居はお仕事であり、バカになりすぎることができないんですよね。ちょっと俯瞰して、客観的に見ないといけないときがあったりして。バカになりたいときって、もっと趣味に近くていいことなのかなと。それこそ、絵を描くこととかはゼロからなので、誰にも何も言われない。それって最高じゃないですか。

宮田:最高ですね。

坂東:お芝居に関しては、バカになりつつも少し冷静な自分がいる感覚ですね。だから、絵を描いているときとか、時間を忘れて新しく買ったカメラをいじくりまわしてる時間とかは、小学生が遊んでいるような没入感があるのかなと思います。

ーー最高の瞬間ですね。

坂東:そうですね。目がキラキラしてると思いますよ(笑)。

ーー本作で描かれるものづくりに没頭する人たちについてはどう思いますか?

坂東:まずやりたいということをお父さんに言うところから、美也子にとっては相当な覚悟だと思います。ユウと尚人が話をしに行くシーンから、堀田さん演じる美也子の顔が確実に変わっていて。そういうところにきっかけがあるんだと思います。

宮田:職人が漆のものを作るのって、大まかな想像しかなかったんです。でも、この映画では、一つひとつの作業が全部描かれていて、作られる過程が知れたので、よりすごいなと思いましたね。こんなに一つひとつの作業を丁寧に描く作品ってないんじゃないかなって。

坂東:この早送りご時世に。

宮田:そうそう(笑)。

坂東:薫さんがどう見ても職人にしか見えない。漆を塗っていてもダダ漏れる職人感というか。手の厚みもそうですし、背中から漂う説得力がものすごくて。それに録音部さん、照明部さん、撮影部さんが、丁寧に工程を映し出して、編集でカットせずに漏れなく残してくださったのも大きいですね。脚本を読んだときも、すごい長さだなと思ったんです。ト書きがすごく丁寧に書かれていて、実際観ると、すごい惹き込まれるというか、あっという間に感じる。それだけこの伝統工芸の美しさに魅力があるんだろうなと、今回初めて気づきました。

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