山田裕貴、杉野遥亮、板垣李光人、大森南朋 『どうする家康』魅力が増す徳川四天王

『どうする家康』魅力が増す徳川四天王

 秀吉(ムロツヨシ)に利用されたあげく、安土城から追い出された織田信雄(浜野謙太)に助けを求められた家康(松本潤)。勢いに乗る秀吉にこのまま天下を取らせたくはないが、秀吉の大軍勢は10万を超える。臣従するつもりはないものの、敵に回すにはあまりにも危険な存在になっていた。本来の、弱虫だった頃の家康なら「どうすりゃええんじゃ」と逃げ腰の姿勢で、実際に逃げ道を探していたかもしれない。

 ところが、彼は大きな変化を遂げた。つらい経験を共に乗り越えてきた家臣団に支えられて天下を取るべく、王者の風格さえ漂う。手強い秀吉との大戦を前に「お主なら、どうする?」と家康は、本多忠勝(山田裕貴)、榊原康政(杉野遥亮)、井伊直政(板垣李光人)、酒井忠次(大森南朋)らの意見に耳を傾けていた。

 忠誠心に厚く、勇ましい家臣団の中でも、「徳川四天王」と呼ばれるようになる本多忠勝、榊原康政、井伊直政、そして酒井忠次。4人がそれぞれに本領を発揮し、家康との結びつきをさらに強め、関係をより深めたのが、第32回「小牧長久手の激闘」で描かれる秀吉との戦いだった。

本多忠勝(山田裕貴)

 山田裕貴が演じる本多忠勝(平八郎)は逸話の多い人物で、公式サイトには「生涯戦うこと57回、かすり傷一つも追わないといわれる戦国最強武将のひとり」と紹介されている。天下三名鎗の一つ「蜻蛉切」で数々の武功を立て「家康に過ぎたるものは二つあり、唐の頭(白いヤクの毛で飾った兜)と本多平八(忠勝)」とまでいわれ、個性的な家臣団の中でも異彩を放つ。

 出陣するときは鎧の上から大きな数珠をかけて自分が斬った相手を弔い、育ての親のような存在だった叔父・忠真(波岡一喜)の遺品であるひょうたんを大切に身につけているのが山田の演じる忠勝である。敵をも尊重し、主君のために死んだ祖父や父、叔父の思いまでも背負う人物として、情に厚い深みのある演技が印象に残る。

 家康に対しても率直に強気な発言をするが、それこそが猛将・忠勝の愛情表現として重要な場面で余韻を残す。

榊原康政(杉野遥亮)

 もともと松平家譜代家臣の家に生まれ、幼い頃から家康に仕えてきた忠勝らとは違い、家康に才能を見出されて小性となった榊原康政(小平太)を演じているのは杉野遥亮だ。小平太は、忠勝と同い年で、黒い甲冑に長い黒いマントをなびかせて登場した忠勝とは対照的に、最初に身につけた甲冑は手作り感満載の、肩のあたりに藁が乗っている簡素なタイプだった。

 そんなシンプルすぎる甲冑で、忠勝らと戦で活躍。文武に秀でた武将として大成し、家康から「康」の字を与えられた。飄々とした自由な感覚を持ちつつ、その知勇で出世した康政の成長と、俳優として着実に進化を続ける杉野の姿は時にリンクして映る。

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