『どうする家康』徳川家康の“覚醒の瞬間”に鳥肌 松本潤の俳優としての立ち位置も変化?
だが、織田信長(岡田准一)を前にした際、終始ひきつっていた笑顔は絶えることのない微笑に変わり、挙動の不審さは泰然自若な佇まいへと変わった。人の上に立つものが往々にしてそうであるように、本心が読めない人物へとなったのだ。これが家臣たちとの友垣的な関係を変えてしまうのは言うまでもない。これにはかなり大きな衝撃を受けた。いつかはこうなるのだと想像はしていたが、半年かけて作り上げてきたからこそ、衝撃が大きかったのだ。つまりは“チーム”の中でのフォーメーションのチェンジ。松本がポジションを変えられたからこそ、実現できたものだろう。
家臣らの前で口にした「信長を討つ」「天下を取る」という誓いの言葉は、彼らの関係性を決定的に変えた。そして同時に力の込められたそれらの言葉は、天下統一への道を視聴者に示すものでもあっただろう。冷厳に言い放った「信長を殺す」との言葉には、さすがに鳥肌が立った。それは“松本潤=徳川家康”の覚醒の瞬間として、疑う余地のないものだったからである。
共演者とのかけ合いにおいて、これまでの松本は“受け”にまわることが少なくなかった。つまりはリアクションをする側である。けれどもここからは周囲の者たちをアッと驚かせるアクションを起こす機会が増えていくのだろう。あとさらに半年後は、果たしてどのようなポジションでのパフォーマンスを展開しているのか。その頃には松本潤の俳優としての立ち位置も変化しているはずである。そんな道のりを、しかと見届けたい。
■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK