『どうする家康』徳川家康の“覚醒の瞬間”に鳥肌 松本潤の俳優としての立ち位置も変化?

『どうする家康』松本潤が示した天下統一の道

 “松本潤=徳川家康”が明らかに変わったーー。そう、放送中の大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)の第26回「ぶらり富士遊覧」でのことだ。ドラマの放送開始から早くも半年以上が経過し、物語は折り返しへ。いつからか天下統一を目指すようになった家康の成長を見守ってきた私たちなわけだが、それは本作で大河ドラマ初出演を果たし、主演という大役を背負うことになった俳優・松本潤の演技を堪能し続ける時間でもあった(※前作『鎌倉殿の13人』の最終話にサプライズ登場している)。そんな彼がいま、最良のパフォーマンスを展開してみせている。

 『どうする家康』で松本が演じる役どころについては説明不要だろう。あの誰もが知る徳川家康役であり、古沢良太の脚本による本作では、タイトルからも想像できるように非常に優柔不断な人物として描かれている。

 本作の公式ガイド『NHK大河ドラマ・ガイド どうする家康 前編』にて松本は、自身が作品作りに参加する際、何よりも“チームワーク”を大切にしていることを明かしたうえで、「古沢良太さんの描く家康も、圧倒的なカリスマ性というより、才能のある人たちを引き立てる力や、チームプレーがキーになると感じています」と述べている。

 松本がこの家康像を演じるのは、必然的で運命的なことだったのだろうと分かる内容だ。松本は家康の弱さや情けなさを表現し続けることに徹し、家臣たちの、いや、共演者たちのパフォーマンスを引き出してきた。トップダウン的な関係ではなく、まさに友垣(友達)的関係。半年かけて、この構図を作り上げてきたのだ。

 しかし、愛する妻子を失ったあとの第26回「ぶらり富士遊覧」で、松本は先述した構図を自ら打ち崩した。もちろん、脚本上の要請であるのだろうし、それにともなった演出もなされていたはず。しかしやはり、松本が家康の変化を体現したことによるものが大きいのではないだろうか。かつての家康はとても素直で、恐怖や悲しみを隠すことのできない、人間らしい人間であった。心の内側と表情や声などの外側とが連動し、彼が何を思い、どのような心境でいるのかを私たち視聴者はつぶさに読み取ってきただろう。

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