笠松将、“朝の顔”の一人として『らんまん』でさらなる飛躍へ 視線と表情の揺れに注目

笠松将、『らんまん』でさらなる飛躍へ

 映画ファンにとってもっとも信頼できる俳優の一人である笠松将が、ついに朝ドラ『らんまん』(NHK総合)に登場。主人公・万太郎(神木隆之介)の身近な存在を演じる彼は、これが初めての朝ドラへの参加だ。硬派で危険な香りのする役どころを得意としてきた彼は、“朝の顔”の一人として、果たしてどのような表情を見せていくのだろうか。

 本作で笠松が演じるのは、万太郎の生家である造り酒屋「峰屋」に幼い頃から出入りしている蔵人・幸吉。毎年、秋から春にかけて農村から蔵へと酒造りに来るという。まだ登場したばかりとあって、幸吉に関して分かっている情報はこれだけだ。本作の公式ガイド『連続テレビ小説 らんまん Part1』(NHK出版)では彼のことを「酒造りにまっすぐな若き蔵人」だと紹介している。「まっすぐ」というのはなんとも含みのある表現だ。それは寡黙でマジメな性格を指すのか、あるいは饒舌で熱血的な性格を指すのか。笠松のパフォーマンスに対する期待値は上がってくる。ともあれ、万太郎が植物学者の道に進むことを考えると、幸吉とより強い接点を持つのは、酒造りに魅せられた万太郎の姉・綾(佐久間由衣)の方だということになるのだろう。いずれにせよ本作の物語にガッツリ絡んでくる存在だ。


 そんな幸吉を演じる笠松将。冒頭に記したように映画ファンをはじめとする人々の間ではすでに広く知られた俳優なはずだが、本作で彼の魅力に触れる視聴者の方も多いだろう。さすがは国民的ドラマである朝ドラだ。映画などまでは追えていなかった方でも、朝ドラならば出勤前のひとときに気楽に気軽にアクセスすることができる。そしておそらく本作をもって、笠松はさらに自身の活動領域を広げることになるはずだ。それはなぜか。理由は明快である。彼が優れた演技者であり、その事実がこれまで以上の規模で、しかも同時的に共有されるから。先は見えている。

 笠松の最近の活動でもっとも話題を集めたのはディズニープラス「スター」オリジナルドラマシリーズ『ガンニバル』だろう。同作で彼は物語のキーパーソンを演じているが、有料の動画配信サービスに登録しなければならないものとあって、まだ観ていないという人も多い。過激なサスペンス作品で、たしかに地上波での放送は難しそう。だが、そこにはこのある種の壁を超えた者だけが知ることのできる俳優・笠松将の肖像がある。日本ではWOWOW登録者しか観ることのできない『TOKYO VICE』も同様だ。いずれも日本のみならず世界中で配信中。これらには近年の彼の俳優としての功績と生き様が顕著に表れているわけだが、それに触れるにはちょっとしたハードルがあったわけである。

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