『鬼滅の刃』アニメ表現は最高点へ 『刀鍛冶の里編』声優陣&ufotableの偉業を目撃せよ

『鬼滅の刃』のアニメ表現は最高点へ

 TVアニメ『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』の放送が4月9日からフジテレビ系でスタート。『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』で先行上映された第1話で顔を見せた“恋柱”の甘露寺蜜璃や“霞柱”の時透無一郎、そして上弦の鬼たちの激突が繰り広げられていく。吾峠呼世晴の原作漫画でストーリーを知っている人でも、ufotableによる圧倒的な作画と、どのキャラクターでもピッタリの声によって刀鍛冶の里へと引きずり込まれるはずだ。

 最強の鬼たちが名を連ねる上弦の陸で、遊郭に潜んでいた堕姫と妓夫太郎を相手にした壮絶な戦いに勝利した鬼殺隊の竈門炭治郎だったが、使っている刀が欠けてしまい、新しい刀を刀鍛冶の鋼鐵塚に打ってもらうため、妹の禰豆子とともに刀鍛冶の里を訪ねていく。そこで出会ったのが、同じように刀の調整に来ていた甘露寺蜜璃。アニメでは頭抜けた可愛らしさを放つ花澤香菜の声が乗って、炭治郎だけでなく視聴者の心も浮き立たせる。

テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編 第2弾PV 2023年4月9日放送開始

 もっとも、甘露寺と入れかわるように現れたもうひとりの“柱”が炭治郎を緊張させる。霞柱の時透無一郎だ。炭治郎が鬼殺隊を率いる産屋敷耀哉の前に禰豆子とともに引きずり出された時、激しく直訴する炭治郎に小石を飛ばして黙らせた少年で、陽気な“炎柱”の煉獄杏寿郎や、ド派手な“音柱”の宇随天元とは反対に、無表情でいながらも、とてつもない強さを感じさせた。

 誰にも分け隔てなく優しい蜜璃とは正反対に、強い自分が強さを発揮するために必要なことをするためなら、誰が相手でも傍若無人に振る舞う時透はそのクールさで見る人を戦慄させる。アニメで声を演じる河西健吾も、『ブルーロック』の乙夜影汰や、『ブルーピリオド』の橋田悠とは違った虚無的な雰囲気で、時透というキャラクターを形作っている。

 そんな時透が、『刀鍛冶の里編』のエピソードが進んで行く中で、炭治郎との会話をきっかけにガラリと変わる瞬間がある。時透という剣士が、鬼舞辻無惨や上弦の鬼たちを相手にした最終決戦で底知れない強さを見せるのも、ここでの変化があったから。そうした変化を河西がどのように表現していくかも、『刀鍛冶の里編』の見どころであり聴きどころになるだろう。もちろん炭治郎が主人公である以上、見せ場はしっかりと取られている。半ば療養に来たはずが、命に関わるような厳しい修行を経て成長していく姿を見られるだろう。

 声について言うなら、炭治郎や時透、そして甘露寺が相手をする上弦の鬼たちにも、ピッタリの声が乗ってそれぞれの存在感が強まりそう。第1話で無惨の下に参集する上弦の鬼たちの中で、刀鍛冶の里を襲撃するのは上弦の肆の半天狗と上弦の伍の玉壺。このうちの半天狗を演じているのが、『うる星やつら』の最初のシリーズで諸星あたるを演じ、『機動戦士ガンダム』ではカイ・シデンを演じたベテラン声優の古川登志夫だ。

アニメ「鬼滅の刃」上弦の鬼解禁PV

 すでに、諸星あたるとも『ドラゴンボール』のピッコロとも違った臆病そうで老獪そうな声を聞かせてくれているが、エピソードが進んだところで半天狗に訪れるある状態もすべて含めて引き受けるのだとしたら、なかなか凄まじいことになりそうだ。喜怒哀楽の感情を自在に声に乗せられる声優でも難しそうな場面で、さすがはベテランといった演技を見せてくれるのか。今から気になって仕方がない。

 玉壺の方も、『刀剣乱舞』の三日月宗近役で知られる鳥海浩輔が、異形で変態的な性格を持った鬼を演じて、見る人の背筋をゾクゾクとさせている。上弦の壱の黒死牟を演じて、イケボイスを凄みのある方へと深めた置鮎龍太郎とは違ったイケボの広げ方を堪能できるだろう。

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