花澤香菜になぜ特別な存在感を感じるのか? 『鬼滅の刃』甘露寺蜜璃役にも表れる“持ち味”

花澤香菜、甘露寺蜜璃役にも表れる“持ち味”

 4月9日より『刀鍛冶の里編』の放送がスタートするアニメ『鬼滅の刃』。これまで柱合会議でしか姿を現していなかった柱が登場することも注目で、放送に先行して上映された映画『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』では、恋柱・甘露寺蜜璃が登場しその存在感を示した。

 恋柱・甘露寺蜜璃は、柱合会議においては、竈門炭治郎と禰󠄀豆子を擁護するなど竈門兄妹に対して悪くない印象を抱いている。恋の呼吸を操る剣士で、明るく可愛らしい乙女チックな性格。しゃべり方も今風の恋する女子といった雰囲気で、甘露寺のシーンはまるで現代のラブコメ作品を観ているかのよう。鬼との激烈な戦いの物語において、思わず笑みがこぼれるような安堵感を与えてくれる。その甘露寺を演じるのが、現在お昼に生放送されている『ぽかぽか』(フジテレビ系)に火曜レギュラーとして出演するなど、声優の枠を越えた活躍で話題の花澤香菜だ。

 花澤香菜の魅力の一つは、耳障りのいい優しくフワフワとした声質だろう。それは「究極の癒やしボイス」とも「天使の声」とも呼ばれ、デビュー当初から唯一無二の存在感を放っていた。例えば上目使いで甘えてくるような小悪魔ボイスは真骨頂で、『〈物語〉シリーズ』の千石撫子が代表だ。撫子として花澤が歌ったキャラクターソング「恋愛サーキュレーション」は、癒やし系のフワフワラップを聴かせ、海を越えて中国でも大ヒットした。また新型コロナウイルスの感染拡大によって、4月4日から改めて第1話から放送される『久保さんは僕を許さない』では、耳元でいたずらっぽくささやくシーンで主人公をたびたびドキッとさせるヒロインの久保渚咲を演じた。さらに彼女の代表作の一つ『STEINS;GATE』の椎名まゆり役は、思わず守ってあげたくなるような、癒やし+健気なボイスを披露した。癒やしボイスをベースにしたバリエーションの豊富さは、他の追随を許さない。

花澤香菜「恋愛サーキュレーション」Full size(Live Video)【COVER】

 しかし、魅力は“フワフワ癒やしボイス”だけではない。『PSYCHO-PASS サイコパス』ではフワフワを封印し、使命感を持って社会の暗部と対峙する常守朱を、芯のある真っ直ぐな声で力強く演じた。『五等分の花嫁』では、5人姉妹の長女としてしっかりとした一面を持ちながら、誰にも頼れず一人で抱え込んでしまう中野一花を演じ、強さの中に弱さをもはらんだ大人の声で、一花の迷いや決心を見事に演じきった。また、南極で行方不明になった母親を探すため仲間とともに南極を目指すストーリーの『宇宙よりも遠い場所』では、一見クールビューティーだが中身はちょっとポンコツの小淵沢報瀬を演じ、南極で母親のパソコンを見つけて号泣するシーンでは、恥も外聞もかなぐり捨てて泣きじゃくる姿が全視聴者を感動させた。

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