永作博美、『舞いあがれ!』は代表作に めぐみ役を通して示した、母・女性としての人間像

『舞いあがれ!』は永作博美の代表作に

高橋克典が教えてくれた支え合うことの大切さ 『舞いあがれ!』で作品全体の父親役担う

半年間の放送を終えようとしているいま、これまでのすべてが一つになり始めている朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK総合)。物語はヒロイン…

 その一方で、夫役の高橋が舞の父親役だけでなく“『舞いあがれ!』の父親役”をも担っていたように(※)、永作もまた作品全体の母親役を担っていた。ほかの個性的なキャラクターたちが伸び伸びと自己を表現できるよう、作品のベースであり続けたのだ。

 既出の公式ガイドにて永作は「台本を読んだときは、めぐみはどう立ち上がっていけばいいのか頭を抱えてしまいました。視聴者の方も『できるの? めぐみさん』と思うでしょう。(中略)女の人が母親として成長していく姿を見せたい、それがやらせてもらえるという思いがありました。子どもが生まれたからといって、最初から母親になれるわけではなく、日々の過程があってこそですものね」とも語っている。

 彼女自身とても悩みながら、母として妻として奮闘するめぐみを表現していたことが分かる内容の発言だ。そして、永作が“過程”を大切にしていたというのも納得。めぐみのある種の絶対的な母親像というのは、「台本を信じ、家族やIWAKURAを見守り続けたいと思います」とも述べているように、永作が台本に身を委ねた結果として生まれたものなのだろう。そして彼女は脚本上に見えるほんの小さな隙間の中で、めぐみの持つより人間的な部分を表現し、それがキャラクターのリアリティに繋がった。

 『舞いあがれ!』の母親役としての顔を持ちながら、“永作博美=めぐみ”は実はいつも戸惑い悩み続けていた。ときにはそれを打ち明けてもいい。彼女の姿は、「無理に強くあろうとしなくてもいい」のだと教えてくれたように思う。最終的に本作で形成されている人間関係が、それを物語っている。今後「永作博美といえば何?」と問われて、「『舞いあがれ!』のお母ちゃん」と答える人は少なくないはずである。

参照

※ https://realsound.jp/movie/2023/03/post-1287575.html

■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK

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