『どうする家康』有村架純が多彩な表情で見せた瀬名の複雑な胸中 北香那の強い眼差しも

『どうする家康』お葉×美代の結末

 北は2022年放送の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)では源頼家(金子大地)の正室・つつじを演じていた。つつじもまた芯の通った人物で、復讐に燃える息子・公暁(寛一郎)に「あなたはあなたの道を生きるのです」と必死に説得する。この場面でのつつじの眼差しは優しく、あたたかくも強かった。お葉はつつじの人物像とはもちろん異なるが、北の演技には演じる役柄が持つ強さが感じられる。テキパキと仕事に励み、側室の務めを果たすお葉には武家の女としての覚悟が感じられたし、家康に正直な思いを打ち明けた際には、涙を浮かべたその目に、大切な人とともに生きたいという強い願いが感じられた。

 そして、美代を演じていた中村はお葉と美代が惹かれ合うさまをごく自然に演じていた。お葉に寄り添う美代を見ていると、このドラマで描かれていない場所でもお互いを支え合ってきたのだろうと思わされる。家康の前で「お手討ちにしてくださいませ!」と懇願する中村の表情は「小柄で控えめでかよわそうに見えて、実はしんの強い女性」を体現しており、心に残る。

 物語の終わり、お葉と美代が一緒になり、微笑み合う姿はとても美しかった。

 お葉は西郡の局として陰ながら末長く家康を支えていく。家康が安寧の世をもたらすまでにたくさんの困難が待ち受けるが、気立てのよいお葉の存在が今後も支えとなることだろう。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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