宇野維正の興行ランキング一刀両断!
シネコンは封切り館から現代の名画座に 今後は旧作のリバイバル上映が常態化する?
先週末の動員ランキングは、公開13週目を迎えた『THE FIRST SLAM DUNK』が、週末3日間で動員21万2000人、興収3億1100万円をあげて、5週間ぶりに1位に再浮上した。これで同作が動員ランキングのトップに立つのは通算9週目。公開から86日間の累計では動員774万5549人、興収112億7634万8740円。『THE FIRST SLAM DUNK』の公開日は、2023年の年間興収記録の対象となる「2022年12月1日から2023年11月30日までの公開作」に入る2022年12月3日。最終興収で120億円は確実に超えてくるであろう同作の記録が、今年これから公開予定の有力作にとって大きな壁になっていく。
3ヶ月前の公開作が首位に返り咲くということは、つまり新作に勢いがないから。前週初登場1位だった『アントマン&ワスプ:クアントマニア』は先週6位に急降下。公開から10日間の興収が7億4167万5260円と、最終興収10億円も危ぶまれる状況だ。例年、正月興行と春休み興行の谷間となる2月は映画興行の閑散期となっているが、3月に入ってからもしばらくこのムードが続きそうである。
思えば、今年2月に公開された作品で結果を残したのは、先週末2位の『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』(公開から24日間で興収31億9028万9400円)、先週末5位の『BTS: Yet To Come in Cinemas』(公開から26日間で興収17億3431万7400円)、2月23日で期間限定公開を終えた『タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター』(興収10億8970万8980万円)といった、新作の長編映画ではない、企画もの、コンサートフィルム、リバイバル上映といったラインナップ。
本日3月3日からは早くも『トップガン マーヴェリック』のリバイバル上映がスタート。昨年12月までに全国ほとんどの映画館で終映してはいたものの、散発的に、主にラージフォーマットの設備を持つ劇場で再上映されてきた本作。しかし、今回のリバイバル上映は全国175館まで順次拡大というから驚きだ。念のために言っておくと、もちろん『トップガン マーヴェリック』はフィジカルソフトも有料配信もリリース済で、3月9日からはNetflixのラインナップにも入ることが発表されている。
先月の『タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター』の公開時には、各シネコンおよび各映画館の運営側の「読み違い」によって、明らかに座席数が需要に追いつかず、各劇場で満席が相次いだ。様々な条件が複雑に絡み合っているため、ある意味では新作よりも「読みにくい」リバイバル上映の興行。しかし、コロナ禍を経て新作映画への引きが全体的に弱くなりつつある今、今後もこのようなシネコンでの大規模なリバイバル上映は増えていくだろう。
■公開情報
『トップガン マーヴェリック』
全国公開中
監督:ジョセフ・コシンスキー
脚本:クリストファー・マッカリーほか
製作:ジェリー・ブラッカイマー、トム・クルーズ、クリストファー・マッカリー、デヴィッド・エリソン
出演:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、ヴァル・キルマーほか
配給:東和ピクチャーズ
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