『スタンドUPスタート』竜星涼の豪快さが炸裂! 全て笑い飛ばしてくれる大陽の安心感

『スタンドUPスタート』竜星涼の魅力が炸裂

 そんな林田に「40、50は鼻垂れ小僧。60、70は働き盛り。90になって迎えがきたら100まで待てと追い返せ。鼻垂れ小僧が諦めるなんて性急すぎるんじゃない?」と声を掛ける大陽。相手の様々な事情や葛藤、情けなさや不甲斐なさも全て飲み込んで笑い飛ばしてくれるような豪快さと懐の深さに、安心感が滲む。何だかこの人の前でならとことんダメな自分を、自身の恥部を曝け出したくなってしまう。大陽役の竜星の人間臭さや嘘偽りのなさ、そしてセットで見せてくれる隙が、まさにこのキャラクターとマッチしていて、本当にハマり役そのものだ。会社からも家族からも勝手に退場させられつつある孤独や焦りを、林田はそんな大陽の前でようやく認められた。まずは現実と、そして自身の本心と向き合わないことには再スタートはできない。

 林田が心から口にする「誰かに必要とされたい」という思いは切実で、これはきっと誰しもが持っている願いであり、“働く”だけでなく“生きる”ために必要な根源的な願望だろう。だから人は人との、社会との繋がりが感じられないと孤独に陥ってしまうのだ。

 銀行の融資を受けたいベンチャー企業経営者と銀行のマッチング業に着手した林田。不本意な配置転換で素直な声掛けが部下にも家族にもできなくなってしまっていた彼だが、本来彼が持つ面倒見の良さが存分に発揮され、次々に融資話をまとめ上げていく。その実績よりも何よりも、人に必要とされたい、頼られたい、誰かの役に立ちたいという彼の渇望を多くの“ありがとう”が満たしていく。「この仕事(役割)は自分じゃなきゃダメ」だとそう思えることは、そのまま生きているという実感にも繋がる。

 音野も夫と腹を割って話し合い、彼女がマンション管理を会社化し、夫が家庭に入ることになった。この夫婦がこの“最適解”にたどり着くまでのやり取りもあまりにリアルだった。

 ラストにはこの大陽が何と大企業・三ツ星重工の社長・大海(小泉孝太郎)の弟であることが明かされた。正反対の考えを持つ兄弟の今後と、そして大海には「錆びた部品の片付け」と切って捨てられた元社員・武藤浩(塚地武雅)を大陽がどう再起させるのか気になるところだ。これから週半ばに大陽の決して否定からは入らない喝を浴びることがエネルギーチャージになる視聴者が増加していきそうだ。

■放送情報
『スタンドUPスタート』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:竜星涼、小泉孝太郎、吉野北人(THE RAMPAGE)、小手伸也、山下美月(乃木坂46)、水沢林太郎、雨宮天、塚地武雅、安達祐実、戸次重幸、鈴木浩介、高橋克実、反町隆史ほか
原作:『スタンドUPスタート』福田秀(集英社『週刊ヤングジャンプ』連載)
監修:上野 豪(DRONE PILOT AGENCY株式会社 代表取締役)
脚本:モラル、伊達さん(大人のカフェ)
音楽:瀬川英史
主題歌:JUJU「Bet On Me」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
企画:狩野雄太
プロデューサー:清家優輝、庄島智之
演出:瑠東東一郎、久万真路、的場政行、松下敏也
制作協力:ファインエンターテイメント
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/stand_up_start/
公式Twitter:https://twitter.com/stand_up_start
公式Instagram:https://www.instagram.com/standupstart_fujitv/

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